奈良インフル患者報告ゼロ 昨年同時期269人 コロナ対策奏功、ウイルス干渉も?

新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行が懸念され、奈良県が対策を進めるなか、県内では新型コロナの患者数が急増する一方で、インフルの患者報告は「ゼロ」が続いている。2018、19年にはインフル流行期に入っていた時期になっても、今年(11月23~29日)は定点医療機関からの患者報告は0人。新型コロナ対策が奏功しているだけでなく、異なるウイルス同士で感染を阻害する「ウイルス干渉」の可能性を指摘する医師もいる。【久保聡】
県は毎週、県内55の定点医療機関から、インフル患者数の報告を受けている。県のまとめによると、今年は11月(1月の第1週から数えて第45~48週)の報告患者数は0人。同じ4週間のインフル患者数の報告は18年が225人、19年が269人だった。1医療機関あたり毎週1人の報告があれば流行期に入ったとされ、18年は第48週(11月26日~12月2日)に1・78人、19年は第47週(11月18~24日)に1・42人、第48週(11月25日~12月1日)に2・04人と「1人」を超えていた。
今年の報告は0人が続いており、今のところ流行の気配はない。全国でも同様の傾向がみられるといい、海外でも例年インフルが流行する時期に、今年は感染者が激減している。
県医師会副会長の安東範明医師は二つの可能性を指摘する。一つは、新型コロナの感染拡大防止のためのマスク着用や手指消毒の徹底、「3密」を避けるなど「新しい生活様式」の効果だ。
もう一つは、あるウイルスに体内の細胞が感染すると、別のウイルスに感染しにくくなる状態を示す「ウイルス干渉」の可能性だ。新型コロナとインフルの感染経路は主に鼻や喉からとほぼ同じで、新型コロナに感染した人はインフルに感染しにくくなり、感染しにくい人が増えれば流行が抑えられるというものだ。しかし、インフル予防のワクチンを打っても新型コロナにかかりにくくなることはないという。
安東医師は「警戒は引き続き必要だが、もしかすると、今期はインフルエンザの流行はないかもしれない」としている。