富山市の富山中央署奥田交番で2018年、勤務中の警察官が刺殺され、奪われた拳銃で警備員が射殺された事件で、強盗殺人などの罪で起訴された元自衛官、島津慧大被告(24)の裁判員裁判が21年1月に始まるのを前に、亡くなった警備員、中村信一さん(当時68歳)の妻が10日、報道各社の取材に応じた。事件から約2年半を迎え、初めて遺影を公開。被告への怒りとともに、公判で「全てを話してくれるのではないか」と交錯する胸の内を明かした。
起訴状などによると、島津被告は18年6月26日、奥田交番を襲撃して稲泉健一警部補(当時46歳)=警視に2階級特進=をナイフで殺害して拳銃を奪い、近くの市立奥田小で警備中の中村さんを射殺したなどとされる。初公判は21年1月14日に富山地裁であり、3月5日に判決が言い渡される予定。
中村さんの妻が取材に応じたのは発生2年を迎えた6月以来。初公判を前に家族で話し合い、遺影を公開することに決めたという。遺影を大事に抱え、被告への怒りを秘めながら「(信一さんの)顔も知らないと思う。(遺影を)出せば、感じるものがあるのでは」と理由を語った。
一方、事件で中村さんとともに殺害された稲泉さんへの心境も時間の経過とともに変化してきた。当初は「なぜ拳銃を奪われたのか」という、やるせない思いが支配的だったが、今は「稲泉さんは市民を守るために一生懸命戦った同じ被害者。『ありがとうございます』と言わなくてはいけない」と話した。
初公判まで約1カ月。今は「島津被告に全て聞いてもらいたい」と公判での意見陳述に向けて手記をまとめている最中だ。書き出せば思いが膨らみ、なかなか筆が進まないというが、「仕上がるまで頑張りたい」と前を向く。【高良駿輔】