2019年7月に起きた「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で16日、殺人罪などで起訴された青葉真司被告(42)。現場近くで府警に確保された際、自らも全身の9割に最も重い「3度熱傷」を負い、一時は死亡する恐れもあった。会話や食事をできるまでには回復したが、捜査関係者は「現在もなお自力歩行できる状態ではない」と明かす。
青葉被告は事件直後、京都市内の病院に運ばれた。2日後、より高度な治療が受けられる大阪府内の病院に転院。皮膚の移植手術を受けたが重症で、20年5月の逮捕時も入院先から寝たきりのまま搬送され、医務部のある大阪拘置所で勾留、鑑定留置されてきた。
治療した主治医は毎日新聞の取材に、移送されてきたばかりの容疑者を診察した当時を「厳しい状態で、(救命できるかは)五分五分以下だと思った」と振り返る。6月9日に京都地裁で開かれた勾留理由の開示手続きで、事件後初めて公の場に姿を現したが、ストレッチャーに寝たきりのまま出廷し、赤いやけどの痕が生々しく残っていた。青葉被告の弁護人は、こうした容体での勾留の違法性を再三訴えてきた。
やけど治療に詳しい浜松労災病院の鈴木茂彦院長(京都大名誉教授)は「移植した皮膚は薄い状態で、突っぱりやすいため関節を動かしにくい。全身の筋肉もかなり痩せ衰え、運動機能の障害が起きているだろう」と見る。「早期にリハビリに取り組む必要があるが、痛みもあり相当つらい。どうせ死刑だと考えていれば真剣に向き合わない恐れもある。時間がたつほど回復は困難になるため、周囲の支えも欠かせない」と指摘する。
事件による負傷者は33人とされてきたが、京都地検は16日、32人と認定して起訴した。【千葉紀和】