福岡県太宰府市で2019年10月に主婦の高畑(こうはた)瑠美さん(当時36歳)が暴行されて死亡した事件を巡り、佐賀県警鳥栖署が事件前に同県基山町の遺族から少なくとも8回相談を受けながら被害届を受理しなかった問題で、遺族が16日、福岡市で記者会見した。高畑さんの夫裕さん(35)は「どこかで警察に動いてもらえたら瑠美の命はなくならずに済んだかもしれない。警察は真実を明らかにしてほしい」と訴えた。県警は対応は適切だったとしており、遺族側は第三者による再調査を求めた。
会見は、裕さんと高畑さんの母と妹の3人が出席した。裕さんらによると、事件後の20年6月に被害届を受理しなかった点など対応の問題点を尋ねる質問状を県警に提出したところ、7月に初めて県警側との面談が実現。その際、県警側は対応の不備を事実上認めたという。
一方、県警は10月、鳥栖署の対応が適切だったとする内部調査の結果を公表した。杉内由美子本部長は12月の県議会で、遺族からの相談内容は金銭トラブルで「(高畑さんに)直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められなかった」と答弁。「結果として被害者が亡くなられたことは大変重く受け止めており、本件を今後の教訓にしたい」と述べるにとどめ、対応の不備は認めなかった。
遺族側はこうした県警側の姿勢を「なんら誠意を感じることはできない」と批判。見解の相違があるとして、一連の経緯について会見で改めて説明する必要があると判断したという。
事件は19年10月、太宰府市の駐車場に止めてあった車の中で高畑さんが死亡しているのが見つかり、発覚した。遺体にはバタフライナイフなどで刺されたり、木刀で多数回殴られたりと激しい暴行を受けた痕があった。事件に関与したとして、同市の無職、山本美幸被告(41)ら男女3人が傷害致死や恐喝などの罪で起訴されている。【一宮俊介、山口響、宗岡敬介】