水虫薬死亡 睡眠剤投入を従業員が記録 会社はチェックせず

製薬会社「小林化工」(福井県)が製造した爪水虫などの皮膚治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用した70代女性が死亡するなどした問題で、従業員が製造過程で睡眠導入剤の成分を投入したことを記録していたことが15日、福井県と厚生労働省への取材で明らかになった。投入されるはずのない成分が記録されていたことなどから、作業を熟知していない従業員が誤って投入し、その後の工程でも会社がチェックしていなかった疑いが出てきた。県などは安全確認を怠ったとして、業務停止命令を視野に行政処分を検討している。
睡眠導入剤の成分が混入していたのは経口抗真菌剤のイトラコナゾール錠50「MEEK」。2020年6、7月に製造し、9~12月に出荷した。同社によると、薬の製造過程で原薬の量が減ることがあり、成分を追加する作業を行う際に睡眠導入剤「リルマザホン塩酸塩水和物」を誤って投入したという。作業記録に、この睡眠導入剤を示す番号が記載されていた。
成分の追加投入は今回の場合、医薬品の成分が均等に拡散されずに錠剤の濃度にばらつきが出る可能性があることから、厚労省が承認した製造手順では認められていない。
また出荷前の7月、薬の含有成分を調べるために「液体クロマトグラフィー」と呼ばれる手法でサンプル調査した際、異物の混入を示唆するデータが検出されたが、見過ごされた疑いも明らかになっている。
健康被害が12月に報告され、このデータを再検証したところ睡眠導入剤の混入の可能性が浮上。この作業記録を確認して睡眠導入剤の誤投入が分かった。
医薬品医療機器法は、製薬会社が製造手順を作成して記録し、それらを基に品質をチェックして医薬品を出荷するよう義務付けている。同社の内規では、成分の取り出しや計量は2人1組で指さし確認をしながら進めると定められているが、今回は担当者が1人で作業していた。睡眠導入剤の投入が記された作業記録やサンプル調査の分析結果も含め、あらゆる過程で安全性がチェックされていなかった疑いがある。
厚労省の担当者は「記録をしっかり確認するなどしていれば、そのまま出荷するようなことは考えられない」と話した。【桐野耕一、岩間理紀】