在日中国人らを狙った新たな手口の特殊詐欺が全国で多発している。犯行グループは、中国の政府機関や警察などをかたって電話。「在留資格が取り消される」「銀行通帳が悪用されている」などと中国語でうそを伝えて不安をあおり、現金を要求する手口だ。埼玉県内でも被害が確認されており、県警が注意を呼び掛けている。【成澤隼人】
「中国大使館です。在留資格のことで連絡しました」。5月下旬、川口市に住む30代の中国人女性の携帯電話に、見知らぬ番号から中国語の自動音声で電話があった。音声に従ってスマートフォンの番号を押すと、女性の声で「○○さんですか。パスポートが上海で悪用されている」などと告げられた。
電話を受けた女性は求めに応じて、生年月日や氏名を伝えたが、途中で不審に思い「警察に連絡していいですか」と伝えると、一方的に電話を切られたという。
女性は夫に相談して警察に110番。詐欺の予兆電話であることが分かった。女性は「3月にパスポートの更新を申請していたので、最初は本当だと信じ込んでしまった。同じ中国人が人をだましているのは悲しい」と話す。
県警特殊詐欺対策室によると、県内では3月ごろから中国語の不審電話が確認されており、被害も出ている。同様の電話を受けた熊谷市の50代女性は10月、計3600万円をだまし取られ、11月には川口市の20代女性が115万円を指定された口座に振り込んでしまったという。
県警国際捜査課は、中国語の啓発チラシを作製。川口市のJR西川口駅周辺では11月下旬、課員が飲食店を経営する中国人らにチラシを配布し、注意喚起した。同課は、不審電話を受けた際は、個人情報を教えない▽絶対に金を送らない▽近くの警察署へ相談、または110番する――などと呼び掛けている。