福岡県太宰府市で昨年10月、
高畑
( こうはた ) 瑠美さん(当時36歳)が暴行されて死亡した事件を巡り、高畑さんの家族は16日、福岡市内で記者会見し、事件前に佐賀県警に相談した際のやり取りを収めた音声データを公開した。家族に危険が及んでいると訴える内容で、「被害届を出したい」との申し出に県警が応じなかったとしている。家族は対応に不備があったとして、第三者による再調査を求めた。一方、県警は対応に問題はなかったとの見解を再び示した。
家族が公開した音声は、高畑さんの夫・裕さん(35)らが昨年9月25日に佐賀県警鳥栖署に相談に訪れた際のやり取り。裕さんは、高畑さんに対する傷害致死罪などで起訴された山本美幸被告(41)らから金銭を要求された時の音声データを持参し、「被害届を出したい」と申し出た。
裕さんらが、家族にも危険が及んでいると訴えたのに対し、応対した署員は「(犯罪の)構成要件を満たさなければ、被害届は簡単に受け取れない」と答え、巡回強化を提案。後日の来署を求めたという。
家族は会見で、相談内容や対応などを記載する県警の「相談等取扱票」4回分も公表。いずれも相談は「解決」とされ、9月25日の相談の際も、被害届を出す意思の有無を記す欄は「現在のところなし」となっていた。
昨年7月12日の相談票には、高畑さんから金の無心を受けた母親が、山本被告の存在を指摘して「山本(被告)を引き離したい」と訴える内容が記載されていた。県警は「親族間の金銭トラブル」と判断していたが、裕さんは会見で「この時に警察が動いていたら、瑠美は救えたかもしれない」と主張した。
会見に同席した高畑さんの母親と妹は「最初に相談した頃から瑠美の異変と山本(被告)らの危険性を訴えていた」と強調した。
会見を受け、佐賀県警広報県民課の田中聡・課長補佐は報道陣に「事実関係はこれまで説明している通りで、再調査の予定はない。家族には引き続き対応していく」と話した。
佐賀県警は今月5日、高畑さんの家族に対し、県警の一連の対応について、2度目の説明を行っていた。「対応に不備がなかった」と繰り返す県警に対し、家族側は「納得ができない」と反発。話し合いは平行線で終わったという。
家族が公開した説明時の音声データによると、高畑さんの妹は、高畑さんと山本美幸被告を引き離すよう何度も求めたと訴え、「(相談内容が)金銭トラブルだけで片付けられるのはどうしてなのか」と詰め寄った。これに対し、県警側は「引き離したいというのは理解していたが、一連の話の根底に金銭トラブルがあったと受け取っていた」と答えた。
家族が「何度も相談しているのに、危険性を見抜けなかったのか」と問うと、県警側は「高畑さんに危害が及ぶ可能性があるということが認められなかった」と従来の説明を繰り返した。
夫の裕さんに対する恐喝未遂の被害届を鳥栖署は受理せず、高畑さんが亡くなった後、福岡県警が恐喝未遂容疑で山本被告らを逮捕した。家族は「鳥栖署に持参した音声データを福岡県警に持って行ったら、すぐに対応してくれた。この差は何なのでしょうか」と批判していた。