中国の史書・魏志倭人伝が伝える
奴国
( なこく ) の王都とされる福岡県春日市の
須玖
( すぐ ) 遺跡群で、国内最古となる弥生時代中期前半(紀元前2世紀頃)の計量用の重り「
権
( けん ) 」が出土した。重さの規格は韓国出土の権と共通しており、奴国が大陸の度量衡の制度をいち早く受容し、青銅器生産などに利用していたことを示す発見だ。
福岡平野南部にある同遺跡群は、国内最古級の青銅器の生産工房跡として知られる。2014年までに同市教育委員会の調査で出土した円筒形の石製品8点を武末純一・福岡大名誉教授(考古学)が分析し、上下を平らに加工した形状などから権と判断した。
権とは
天秤
( てんびん ) などで重さを量る「分銅」にあたり、組み合わせることで、基本となる重さのさまざまな倍数の計量が可能になる。今回見つかったのは5・85グラム~337・19グラム。ほぼ完全な形で残る5点は、韓国慶尚南道・
茶戸里
( タホリ ) 遺跡の権(約11グラム)の3倍(2点)、6倍、20倍、30倍の重さとなっていた。
武末名誉教授は、「青銅器の鋳型とともに出土していることから、原材料の計量に用いられたのだろう。青銅器の国産が、朝鮮半島の技術を直接導入して行われたことを示すもの」と評価している。
国内では「弥生分銅」と称される権が、紀元前後に近畿を中心に分布したが、その基本単位(8・67グラム)は大陸に類例がなく、近畿文化圏独自のものと考えられている。
石川日出志・明治大教授(考古学)の話「朝鮮半島と九州の間に共通の計量制度に基づく経済活動が成立していたことになる。当時の東アジアの中での流通や経済を探る上で重要な資料だ」