―[言論ストロングスタイル]―
◆日ごろ「女性の権利向上」を声高に主張する連中は、命懸けで戦っているのか?
私はパヨクを信用していない。特に、日ごろは「男女平等」だの「女性の権利向上」だのを声高に主張している連中を。
私は、枝野幸男内閣の可能性は限りなくゼロに近いと思うが、まったくのゼロではないと思う。本物のゼロと近似値ゼロは違う。
菅首相は、早期解散に否定的だ。ならば、来年10月の任期満了近くの選挙になる。その時、菅内閣の支持率が今のままだろうか。既に政権発足当初の御祝儀は失われている。もし総選挙の時に自民党の不支持率が高い場合、選択肢は野党第一党の立憲民主党しかない。「枝野でもいいから、自民党はイヤ!」と国民が感じた時、立憲民主党は衆議院議員の候補者の頭数だけは揃えているので、「風」さえ吹けば一気に政権奪取もありうる。
与党は安倍内閣8年の経験から「何をやっても枝野さんが守ってくれる」と油断しているようだが、これまでは景気が一応は回復軌道にあった。だが、リーマンショックで無策を晒した麻生内閣に国民は鉄槌を下した。経済を甘く見ない方がいい。
ただし、枝野立民にとっての「パラダイスシナリオ」ですら、夢は無い。枝野立民にとって。仮に衆議院選挙で多数を取って政権を得ても、参議院で過半数割れしているのだ。ねじれ国会である。思い出せ。民主党政権は参議院で過半数を得ていなかったので、歴代首相が何もできなかった。
それもこれも、昨’19年の参議院選挙で立憲民主党の幹部たちが「今回は勝たなくていい」などとふざけた態度だったからだ。そして、候補者もふざけていた。
◆ある落選した女性候補者の例
ある落選した女性候補者の例である。美人で、弁護士で、テレビにも出ていて知名度もある。誰がどう見ても高得票で当選できる候補者だった。思想は立憲民主党的なリベラル、それはいい。しかし、その候補者は昨年の参議院選挙で「選択的夫婦別姓をやりましょう」「LGBTの皆さんの権利を守りましょう」などと必死に訴えていた。バカか。
ここで私は、選択的夫婦別姓やLGBTの権利の是非を問うているのではない。昨年の選挙が何の選挙かわかっていないから、「バカか」と言っているのである。
昨年の参議院選挙は、与党自民党が「デフレ下でも消費増税をやり抜く」と宣言した選挙だった。ならば減税と景気回復を訴えねばならないはずだ。かつての土井たか子社会党委員長は「ド左翼」だったが、自民党が消費税を導入した時に「ダメなものはダメ!」と大敗に追い込んだ。去年も、そういう戦いをしなければならない選挙だったのだ。
ところが、件の女性候補者に限らず、立憲民主党の候補者たちは、自分の訴えたいことだけ訴えた。夫婦別姓だのLGBTだの、訴えなくて票を入れてくれるだろう「いつもの支持者」にだけ向けてパフォーマンスを繰り返した。そして国民を置き去りにした。勝てなくて当然だ。
そして本題である。なぜ私がパヨクを、日ごろは「男女平等」だの「女性の権利向上」だのを声高に主張している連中を信じないのか。本気で女性の権利の為に戦っているとは思えないからだ。
◆女性の自殺が前年比8割増の今、夫婦別姓をやる時か? 経済対策こそが喫緊の課題だろう
コロナ禍で、現金給付の直後は自殺が激減した。ところが、数か月たつと、激増している。特に女性の自殺は、前年比の8割増とか。異常である。これに対し、日ごろ女性の権利を言っている連中は命懸けで戦わねばならないのではないのか? 今、夫婦別姓をやる時か?
もちろん、自殺には多くの理由がある。生きる希望を失った時に、人は自ら死を選ぶ。そして今回はコロナ禍の影響が大きいのは明らかで、経済問題を放置してよい訳が無かろう。だから、女性の自殺を少しでも減らすための経済政策が求められているのではないのか。
そもそもコロナ禍以前に、なぜ日本は不況から抜け出せないのか。デフレだからである。
経済とは、貨幣とモノのバランスで決まる。過度に貨幣が溢れている状態を悪性インフレと呼ぶ。人体で例えれば焼け死にそうな状態だ。逆に過度にモノが溢れている状態をデフレと呼ぶ。凍え死にそうな状態だ。では適正な状態は? マイルドインフレである。人体で言えば、35~36度の適温である。経済では、2~3%ずつ成長している状態である。
長らく、日本はデフレ状態にある。日本人は勤勉だからモノを作り続けて商品が溢れているが、日銀が発行する貨幣の量が少なすぎた。この状態だと、貨幣は希少品となり、汗水流して働いた商品の価値が下がる。
デフレの解決策は明快で、日銀にお札を刷らせればいい。これに安倍首相は成功し、日銀の金融緩和により景気は劇的な回復軌道に入った。
ところが、安倍首相は財務省に消費増税を押し付けられ、景気を腰折れさせた。税金が上がってモノを買うバカはいない。アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態となった。
結果、緩やかな景気回復は続いたが、中途半端でしかなかった。そして二度目の消費増税に加えて、コロナ禍だ。
現在、即効性のある現金給付で、日本経済は一息ついているが、地獄は少しずつ近づいている。そして、これ以上の金融緩和は意味がないところまで来ているが、止めたら即座にリーマンショックの再現である。
◆「経済よりもコロナだ!」の大合唱
現在、「経済よりもコロナだ!」の大合唱だ。要するにパニックだ。こんな状態の時にいくらお金を渡されても使う気になれない。だから、金融緩和や財政出動にも限界がある。
では、どうすれば良いのか。
経済の根幹はマインドである。将来に対して不安だとお金を使うはずがない。そうすると、景気は収縮、弱い者から倒れていく。倒産と失業者と自殺者が増えていく。
だからこそ、問いたい。「コロナよりも経済だ! 外国ではいざ知らず、日本ではコロナの累計死者数よりもひと月の自殺者の方が多い。経済対策こそが喫緊の課題ではないか」と女性の権利を主張する人たちこそ訴えるべきではないのか。
’98年の大不況では、働き盛りのお父さんの自殺が激増した。私もその中の一人だったかもしれない。だからこそ、苦手の経済問題に関心を持ち、社会で活動するようになった。
経済苦で自殺する人が男だろうと女だろうと、政府の失政による自死は減らすべきだ。
本気で闘う気はあるか?
【倉山 満】
’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、『保守とネトウヨの近現代史』が9月25日に発売された
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