日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(66)の役員報酬約91億円を有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた日産元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(64)の公判が12日、東京地裁(下津健司裁判長)で開かれた。日産ナンバー2だった志賀俊之・元最高執行責任者(COO)=67歳=が証人として出廷し、「報酬隠し」の方法をゴーン前会長に提案したと認め、「深く反省している」と述べた。
証言によると、1億円以上の役員報酬を有価証券報告書で開示する個別開示制度が2009年度末に始まったことを受け、ゴーン前会長は09年度分から開示する報酬を減額していた。志賀元COOは11年2月ごろ、小枝至・元相談役から「減額は気の毒。ゴーン前会長の退任後に、(受け取らなかった)報酬を支払う方法を考えよう」と提案を受けた。ゴーン前会長からもその後に直接、同様の趣旨の指示を受けたという。
志賀元COOは同年3月、ゴーン前会長に、退職慰労金の名目で、退任後に報酬を後払いする方法を提案した。ただ、小枝元相談役も、別名目で後払いする方法を提案しており、ゴーン前会長は小枝元相談役の案を採用したという。
一方で、これ以降は、報酬隠しには関与しなかったとも証言した。志賀元COOは「どの法律に抵触するか、具体的に認識していたわけではないが、法的なリスクは認識していた。そういうことをすべきでないと、ゴーン氏を戒めておけばよかった。ガバナンスが機能していなかった。痛恨の極み」と述べた。
志賀元COOは1976年に日産入社。05年に代表取締役に就き、副会長などを歴任した。【巽賢司】