政府は13日、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言について、首都圏4都県に加え、栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県を対象に加えることを決定する。昨年末以来の世界的な感染爆発の背景には英国や南アフリカなどで確認された変異ウイルスの存在があり、日本も例外ではない。変異を繰り返せば、クラスター(感染者集団)を誘発したり、日本人が感染しやすくなるなど凶暴性を増す恐れもあるだけに最大限の警戒が必要だ。
◇
日本で確認された英国や南アフリカからの変異ウイルスは、いずれも表面のタンパク質に変異が生じ、感染力が高まっているとの研究がある。10日にブラジルからの帰国者4人から見つかったウイルスは、さらに別の変異もあると判明した。
欧米各国に比べると依然少ないものの、国内では昨年末以降、東京など大都市圏で感染者数が大幅に増えている。冬場という季節要因のほか、変異ウイルスも作用しているのか。
東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「海外渡航者との接触者や空港検疫の対象者などをモニタリングしており、取りこぼしは多くないと考えるが、国際空港がある東京、大阪、名古屋など都市部で広がっている可能性は否定できない」と指摘する。
児玉氏は、感染者が増えれば、変異の頻度も増えるとした上で、「遺伝的に日本人に特徴的な免疫や、日本特有の家屋の構造、生活習慣など環境に適応し、日本人に感染力を増すよう変異する可能性もある」と述べ、国内変異についても懸念を示す。
SARS(重症急性呼吸器症候群)やMARS(中東呼吸器症候群)の流行時にも、クラスターの発生にウイルスの変異が関係するとの見方があったという。
「クラスターの発生は、周囲に2次感染を広げやすい感染者(スーパースプレッダー)が原因との見解が有力だが、一定の環境で安定度を増すよう変異したウイルス側の要因との見解も否定できない」と児玉氏。
日本では水際対策として中国や韓国などからのビジネス関係者の往来も含め、全入国者へのPCR検査を実施を決めた。ただ、検疫をすり抜ける例もあり、国内での対策強化が重要だ。
児玉氏は、「経済活動が必ずしも原因とは考えないが、人が移動すれば飲食店での会食や飲酒が伴うことが多く、地方への流入を防ぐためにも都市部の自粛には合理性がある。無症状の若年層の感染もいずれ高齢者にたどり着くため、引き続き3密やステイホームなどを徹底すべきだ」と強調した。