「性の違和感」訴える園児の情報 大津市が同意得ずHPで公開 申し入れ受け削除

大津市立保育園に通う園児が性別への違和感を訴えていることを、同意のないまま市のホームページに公開されたとして、両親が市に削除を求める訴えを大津地裁に起こした。市は園児側の申し入れを受けて18日に情報を削除した。園児側は、性に対する自己認識(性自認)や性的指向を本人の了解なく第三者に暴露する「アウティング」にあたるとして、経緯の検証や再発防止を求めている。【菅健吾】
提訴は2020年12月25日付。訴状などによると、園児は戸籍上は男性だが、性自認は女性。市は管理する保育園のページで、性別への違和感を訴え、医療機関を受診した園児がいるなどと記された19年度の保育園評価書を公開していた。氏名は伏せられているが、年齢や入園年度が記載されており、園児側は個人の特定が可能で、性別への違和感を不特定多数に公開しているとして、人格権の侵害にあたると主張している。
大津市は「訴状が届いていないので詳細なコメントは差し控えるが、保護者の思いを重く受け止めて対応したい」としている。園児側の代理人を務める石田達也弁護士は「行政は性的少数者の視線に立って対応してほしい」と話す。情報の削除を受けて提訴の取り下げを検討するという。
アウティングを巡っては、15年に同級生に同性愛者であることを暴露された一橋大法科大学院の男子学生が転落死。遺族が同大に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は20年11月、「人格権を著しく侵害する行為」と認定した。
園児は性自認について他の園児から「うそつき」と中傷され、暴力を受けるなどし、登園できない状況が続いているという。園児の家族は「今まで通りの生活を送ることが困難になっており、本人は死を意識している。同意なきアウティングは、人の生命にも関わる危険行為」とするコメントを発表。母親(35)は取材に対し、「性的少数者の子供たちは生きづらさを抱えている。まず大人が考え方を改めて、子供たちからも差別や偏見をなくしてほしい」と訴えている。