東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する技術委員会の一部委員を県が高齢を理由に交代させる問題で、不再任とされた立石雅昭・新潟大名誉教授(75)が21日、新潟県庁で記者会見した。「新しい知見が必要というだけで委員から外すのは認められない」と訴え、自身と鈴木元衛・元日本原子力研究開発機構研究主幹(71)の再任を求めた。【井口彩】
「技術委員会委員への再任を求めます」。立石氏は、持参した筆書きの垂れ幕を後ろに掲げて記者会見した。
立石氏によると、15日に県の担当者から電話があり「県の委員会には70歳までというルールがあるので、委員を再任しない。(花角英世)知事の決裁も得ている」と伝えられた。「寝耳に水だった」と振り返った。
立石氏は中越沖地震後の2008年から技術委に参加。地質学者として、柏崎刈羽の敷地内に活断層があるなどと主張し、原発の安全性への影響について厳しく指摘してきた。
技術委は20年10月に東電福島第1原発事故の検証作業を終え、「本来の業務」(花角知事)である柏崎刈羽の安全性確認を進めている。立石氏は、原発事故を起こした東電が原発を運転する「適格性」の確認や、原発事故時の情報発信など、国に説明を求める事項も数多く残っていると主張。「こうした議論をどのように引き継ぎ、柏崎刈羽の安全性を担保するのか。県民の安全を第一に考える姿勢から外れているのではないか」
立石氏は、自身や鈴木氏が柏崎刈羽の安全性確認のための研究を現在まで続けてきたと言及。花角知事は20日の記者会見で委員交代の理由として「最新の知見を持った若い研究者」が必要と主張していたが、「研究者として招かれた以上、古い知見でものを言うなんてあり得ない。あたかも高齢の人が勉強していないように言われるのは心外だ」と批判した。若い研究者が多忙で技術委に時間を割きづらい点や、新任されたばかりの委員は初回から強い意見を述べにくいと見込まれる点も懸念した。
技術委をはじめとする県の「三つの検証委員会」と検証総括委員会の結果が出るまでは再稼働の可否を判断しないというプロセスは、新潟独自のものとして知られる。立石氏は「技術委の大きな特徴は、委員がきっちり発言できる体制があったことだ。物言うメンバーを外すのがどういうことか、大きな危惧を抱いている」と吐露した。「みんなで『新潟方式』を作り上げてきたが、それが大きく変わってしまうのではないか」。立石氏はこの日、2人の再任を求める花角知事宛ての要望書を県に提出した。
県の対応への批判は、県内外に広がっている。市民団体「なくそう原発・新潟市民ネット」は22日、委員の任命継続を求める要請文を作り、JR新潟駅前でデモ行進する。元原発技術者で11月まで技術委の委員を務めた田中三彦氏(77)らでつくる科学者有志も20日、同様の内容などを要望する書面を花角知事に送った。