救急搬送の辞退も 介護施設内でコロナ患者9人が最期 埼玉・戸田

2020年12月に新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した埼玉県戸田市の市立介護施設では、26日までに9人が死亡した。未明に容体が急変し、対応できなかった1人を除き、8人はいずれも家族や本人が「病院での死」を望まず、施設内で最期を迎えた。10日以降に新たな感染者は確認されておらず、感染は収束に向かっている。
この施設では20年12月17日、まず看護師の感染が確認された。その後に職員、入所者の感染が次々に判明。1月26日までに職員9人、入所者13人の計22人の感染が確認された。
県や施設などによると、県内の医療機関の病床が逼迫(ひっぱく)していたこともあり、施設の医師が本人や家族に状況を説明。「入院を求めない」との意向を確認し、施設内での隔離待機とした。12月28日に陽性が判明した入院希望者2人については県が入院調整し、同31日と1月3日に医療機関に入院したが、死亡した60~90代の男女9人はいずれも持病を抱えており、うち8人は容体が悪化しても救急搬送を辞退するなどの書面を交わしていたという。
施設の担当者は「(容体が悪化し)酸素マスクをつけた人は、1月3日に入院できた人の他はみんな亡くなった。普通に食事し話していた人が、2時間後に巡回に行くと冷たくなっていたケースもあった」と、厳しい状況を振り返った。
県保健医療部の担当者は「病床が逼迫しているのは事実だが、高齢者などリスクを抱える入院希望者は何とか入院調整している。今後も厳しい状況が続くが、受け入れ病床確保に努める」と説明。また新規感染者を減らすために、引き続き県民に外出自粛への協力をお願いするとしている。【鷲頭彰子】