菅義偉首相は28日未明、米国のジョー・バイデン大統領と約30分間、電話会談を行った。両首脳は、日米同盟の一層の強化を図り、新型コロナウイルス対策や気候変動問題などの課題解決についても緊密に連携を進めることで一致した。菅首相の訪米についても早期実現に向け、調整することを確認した。ただ、東京五輪・パラリンピックは話題にならなかった。今回の「未明会談」をどう見るべきか。
「バイデン大統領との個人的関係も深めつつ、日米同盟の強化に向けてしっかり取り組みたい。大変良い会談だった」
菅首相は会談後、首相公邸で記者団にこう語った。時計は28日午前1時20分を回っていた。
両首脳は会談で、軍事的覇権拡大を進める中国を念頭に置いた「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向け、連携することで一致した。日米とオーストラリア、インド4カ国の枠組み「QUAD(クアッド)=日米豪印戦略対話」での協力推進も確認した。
中国海警局の公船が連日のように周辺海域に侵入する沖縄県・尖閣諸島に米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約第5条が適用されることも再確認した。菅首相が北朝鮮による拉致問題の早期解決への理解と協力を要請すると、バイデン氏は支持する考えを示した。
電話会談の日程は急遽決まった。菅首相は27日夜にいったん東京・赤坂の衆院議員宿舎に帰宅したが、同日深夜に首相公邸に向かった。
就任後の米大統領は、英国や隣国のカナダ、メキシコとの会談を優先するのが慣例。日本政府は「第1グループ」直後の会談を目指したが、フランス、ドイツ、ロシアとの会談が先行した。
今回の首脳会談をどう見るか。なぜ、東京五輪に触れなかったのか。
拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司氏は「バイデン氏による各国首脳との会談を見る限り、『欧州重視』の姿勢が分かる。日本は後回しで、明らかに『日本軽視』を印象付けた。菅首相は『今こそ日米で、中国の脅威に厳しく対処すべきだ』とはっきり言うべきだった。東京五輪については開催が微妙で、菅首相は触れたくはなかった。バイデン氏も、あえて話題に出さなかったのだろう」と分析した。