政府は2日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、栃木県を除く10都府県で延長する。感染者数は減少傾向だが、重症者や死者数を減らすには一定の時間が必要と判断した。期間が3月7日まで延びることで経済への打撃も大きくなる。専門家は「20兆円規模の追加対策が必要だ」と指摘する。
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1日の国内の新規感染者は1792人。2000人を下回るのは昨年12月21日以来となった。東京都が393人、大阪府が178人だった。
緊急事態宣言の効果は感染者数に表れているが、政府の専門家組織は「重症者数、死亡者数の減少には一定の時間が必要」と分析した。
1カ月の延長が経済にどんな影響を与えるのか。第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏の試算によれば、緊急事態宣言の3月7日までの延長で、栃木を除く10都府県の不要不急消費が3分の2程度に減ると仮定した場合、家計消費は2月7日までの減少分と合わせて3兆6000億円減ることになる。
国内総生産(GDP)ベースでは同様に計3兆円(年間0・5%減)の損失で、失業者も政策対応がなければ半年後に15万9000人程度発生するとしている。
永濱氏は「雇用調整助成金が2月末まで延長したが、雇用への影響は景気に半年ほど遅れるため、さらなる延長が必要になる。事業者への時短の協力金も一律6万円だが、過去の売上高の一定割合を補填(ほてん)するなどの施策でなければ、不公平感が大きい」と指摘する。
コロナ対策の予算について「直近の失業率2・9%から換算すると20兆円超不足する」と分析するのは、経済学者で上武大の田中秀臣教授。予備費の使用が重要だが、第4次補正予算を検討する余地があるとする。
売り上げが半減した中小企業などを支援する持続化給付金は今月15日が申請期限だが、田中氏は「予備費によって制度を継続したうえで、4次補正で売り上げ20~30%減まで基準を緩和する。感染対策を徹底した事業者にプレミアをつけるのも手だ。また、雇用調整助成金は期限の1カ月延長のほか、中小企業向けのパート・アルバイトの休業支援を大企業にも拡大する。そして残りを定額給付金や消費減税など景気対策に充ててもよい」と提言する。
3次補正では「Go To トラベル」関連約1兆円が盛り込まれたことに野党から批判の声が出た。田中氏は「観光業界にとってGoToの効果は大きい。緊急事態宣言解除直後から再開するためにも予算計上は重要だ。菅義偉政権は経済対策の広報をより積極的にすべきではないか」と強調した。