新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、中国では今月12日の「春節」(旧正月)を前に、帰省や旅行などの民族大移動が始まった。日本では現在、ビジネス目的の往来も含め、原則として外国人の入国はストップしているが、「特段の事情」が認められれば、引き続き入国が認められている。感染力の高い変異ウイルスの感染者も国内で見つかるなか、果たして、現状のような水際対策で「ザル入国」は阻止できるのか。
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「春節を前に、日本も水際対策での警戒をもっと強化しないと、コロナ感染の波に襲われかねない。日本はまだ甘い」
「ヒゲの隊長」こと、自民党の佐藤正久外交部会長は、夕刊フジの取材にこう語った。
中国では、春節前後の40日間を「春運」と呼び、政府主導で特別輸送態勢がとられている。3月8日までに延べ約11億人が移動する。新型コロナの流行が深刻だった昨年と比べて約2割の減少が見込まれるという。
日本政府は、これまで段階的に水際対策を進めてきた。昨年12月28日に、中国や韓国など11カ国・地域とのビジネス目的の往来を除く、世界からの新規入国を停止し、先月13日には、ビジネス往来の一時停止も発表した。だが、その後も、査証(ビザ)を持つ再入国者や、「特段の事情」があれば入国は許されている。
出入国在留管理庁によると、「特段の事情」は明文化されていない。
ただ、(1)日本人や在留資格を持つ永住者の配偶者や子供で、海外と日本で別々に居住している場合(2)人道上の配慮が必要な場合(3)医者や看護師での在留資格を持ち、日本の医療体制の充実・強化に資する場合(4)輸出入に関わる海運、貨物航空の関係者-などの事例があり、在外公館で査証を発給する際、あくまで個別の判断で入国を認めている。
当然、観光目的は認められていないが、「特段の事情」で入国した後、観光をしてはならないという決まりはない。
同庁によると、昨年12月だけでも「特段の事情」で約5000人が入国している。
政府は「特段の事情」での入国者についても、以前よりは水際対策を強化している。PCR検査を受けてもらい、宿泊療養施設などを利用した2週間の待機や、位置情報の保存について協力を求めて「誓約書」を提出させ、違反時の氏名公表などを打ち出している。
だが、ここにきて変異ウイルスが侵入する事例が相次いで報告されている。
前出の佐藤氏は「日本の入国者の自主隔離は、強制力に欠ける。前出の『誓約書』の内容も要請のみで、担保が弱い。実際、隔離措置をきちんと守っているか追い切れず、罰するかどうかもあいまいだ。ここは関係省庁での早急な見直しが必要だ。変異ウイルスにしても、空港検疫をすり抜けた可能性が否定できない。市中感染すれば、医療体制を直撃し、経済もさらに打撃を受ける。春節を前に、なすべきことはまだある」と語り、自民党の外交部会で協議する考えを示した。
春節前後の、中国人の日本入国をどうみるか。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は「日本のビザがない限り入国できず、しかも観光目的での入国は無理だ。中国と日本を結ぶ航空便も昨年の10分の1程度。以前のように大挙して中国人が来ることはない。今回は静かな春節になるだろう」と分析した。
ただ、警戒を怠るべきではない。「特段の事情」による昨年12月の「国・地域別の入国者数」を見ると、中国(870人)、米国(596人)、フィリピン(443人)、韓国(292人)と続いている。
佐藤氏は「以前より『特段の事情』での入国者は減っても、まだ相当数いるようだ。ビジネス関係の入国も先月14日以後閉めたが、ビザ取得済みなら特例で20日まで入国を認めていた。その数は再入国者も含め、計約1万人いた。これからコロナとの戦いがさらに厳しさを増すなか、水際対策での『水漏れ』を防ぎ、国民の不安をなくしたい」と語っている。