コロナ禍で孤立感深める妊産婦 里帰りや立ち会い出産かなわず 長野県など相談支援

新型コロナウイルスの感染拡大で長野県外との往来自粛や「3密」回避などが求められ、妊産婦が県外にある実家での里帰り出産を諦めたり、夫の立ち会い出産がかなわなかったり、県外に住む家族からのサポートを受けられなかったりして、孤立感を深めている。新型コロナの収束が見えない中、妊産婦への支援が欠かせない。【坂根真理】
「妊婦健診に行っても感染しないか不安で、とても負担だった」「外出が怖くてできない。ずっと家で一人で子育てをして、授乳や育児の不安で精神的に落ち込んだ」「県外の実家に里帰りができず、育児への不安が強い」――。
県内最多の人口を誇る長野市の年間出生数は約2700人。生後3カ月までの乳児がいる家庭への全戸訪問や、産後ケアなどで関わった保健師らから、新型コロナの影響を受けて孤独や不安を抱える母親の声が、市に数多く寄せられている。
新型コロナが海外でも猛威を振るい、国際線が欠航となったことから、外国籍の母親が母国で出産できなくなり、異国の日本で孤独な出産を余儀なくされたケースもあった。
感染防止のため立ち会い出産や面会を制限した病院も少なくなく、「切迫早産で早めに入院し、入院が長期化しているのに、旦那さんにすら面会できず、号泣した妊婦さんもいた」と市保健所の担当者は明かす。両親学級や母親学級の中止や回数減で、育児の不安が増した家庭もあった。
同市によると、昨年4~10月に新生児訪問を希望しなかった母親は44人(2・9%)で、昨年同期(1・1%)から1・8ポイント増えた。うち、新型コロナの感染を心配して断ったのは8人だった。
担当者は「(訪問を拒否した母子は)4カ月児健診には来てくれているので(赤ちゃんの状況の)把握はできている。コロナ禍の母親たちが置かれている現状には、想像以上のつらさや大変さがあり、通常以上に母親に寄り添った相談支援に努めた」と振り返る。
県も支援に乗り出した。昨年8月、「新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業」を打ち出し、新型コロナ対策をまとめたリーフレットの作成や、不安を抱える妊産婦が出産前にPCR検査を受けられるようにしたことに加え、助産師や保健師など専門職による相談支援を充実させた。母親が孤立を深めれば、産後うつの深刻化や、子どもへの虐待リスクが高まる恐れがあるためだ。
また、県助産師会(松本市)は無料で電話相談(火、木曜午前10時~午後4時、0263・31・0015)を受け付けている。オンラインの集団相談会も月1回のペースで開催しており、次回は2月10日の予定。今後もオンラインの相談会は継続していくという。
同会の担当者は「なかなか外出ができず、家で鬱々としているようであれば、誰かとお話しすることで安心感が生まれると思う。具体的な相談がなくても『誰かと話したい』時に気軽に利用してほしい」と呼び掛けている。詳細は同会のサイト(https://nagano-midwife.com/)。