低姿勢に徹する首相、宣言発令「後手という批判も承知」

衆院予算委員会は8日、2021年度予算案に対する3日間の基本的質疑を終えた。菅首相は、新型コロナウイルス対策の遅れを追及する野党に対し、低姿勢に努め、無難な答弁で乗り切った。
首相は8日の予算委で、緊急事態宣言の発令について、「悩みに悩み、苦しみに苦しむ中で、自分で判断をした。後手という批判も承知している。国民の協力をいただいて、一日も早く感染拡大を阻止したい」と述べた。首相の答弁を巡って、政府・与党内には、言い間違いなどを不安視する見方もあった。しかし、3日間の予算委で、首相は「安全運転」に徹することで、答弁で立ち往生する場面はなかった。自民党内からは「自分の言葉で話すようになったのが良かった」(幹部)と評価する声も出ている。首相が次に予算委に出席するのは、野党が要求する集中審議が実現した時になりそうだ。
一方、この日の審議では、野党が今国会で初めて予算委を退席し、審議を中断させた。首相の長男が総務省幹部4人を接待した疑惑に関し、野党が会食の頻度を質問したが、総務省幹部から明確な答弁がなかったためだ。結局、総務省の秋本芳徳情報流通行政局長が「平均で1年に1回程度、機会を持ってきた」と答弁で明かし、1時間半遅れで審議を再開した。