海自潜水艦と貨物船、高知沖で衝突…防衛省が事故調査委を設置

防衛省によると、8日午前11時頃、高知県・足摺岬の南東約50キロの太平洋上で、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」(排水量2950トン)と民間の貨物船が衝突し、そうりゅうの乗組員3人が軽傷を負った。貨物船側にけが人はいない模様だ。
そうりゅうは、海自呉基地(広島県)の第1潜水隊群に所属。海上幕僚監部によると、当時は定期検査後の訓練中で、海面に浮上する際、潜望鏡で貨物船を確認したが、回避行動が間に合わず、衝突したという。
そうりゅうは、船体上部の通信用アンテナや「

潜舵
( せんだ ) 」と呼ばれる艦橋のかじなどを損傷。事故の報告は、自力航行で携帯電話の利用圏内まで移動してからとなり、発生から約3時間半後だった。
政府関係者によると、貨物船は香港船籍の「オーシャンアルテミス」(約5万トン)とみられる。鉄鉱石約9万トンを運搬中で、事故時に周辺海域を航行していたのは同船しかなかった。現場を管轄する第5管区海上保安本部(神戸市)の問い合わせに対し、同船は損傷や浸水、けが人はいないと回答したという。
運輸安全委員会は8日、今回の事案を船舶事故に認定し、調査官3人を担当に指名。5管本部は9日早朝から、高知市の高知港沖に着いたそうりゅうの船体状況の調査を実施する。
防衛省は8日、海幕内に事故調査委員会を設置。岸防衛相は同日夜、記者団に「誠に残念な事故だ。事故の原因、状況を把握した上で安全担保に努めて参りたい」と語った。
そうりゅうは、2009年に就役。東シナ海での警戒監視などを任務とし、魚雷発射管6基を搭載している。海自艦と民間船舶の衝突事故では昨年3月、東シナ海で護衛艦「しまかぜ」と中国漁船が衝突し、漁船乗組員が負傷した事故がある。