東京「コロナ抗体0・91%」で第4波に耐えられる? 専門家「気付かぬうちにウイルス感染、撃退も」 過去の「かぜ」と同様傾向

新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向だが、懸念されるのは緊急事態宣言解除後の「第4波」だ。厚生労働省の調査では、抗体を保有している人は東京都で0・91%だけだ。ただ、専門家はより多くの人が気付かないうちにウイルスに感染、撃退している可能性があるとの見方を示す。

11日の新規感染者は東京が434人、大阪府が141人だった。順調に減っているが、政府は緊急事態宣言解除については慎重に見極めている。
問題は解除後だ。厚労省が昨年12月に実施した調査で、抗体を保有していた人の比率は東京で0・91%、大阪は0・58%だった。昨年6月時点の東京0・1%、大阪0・17%からは増えたが、一般に「集団免疫」の達成とされる60~70%には遠く及ばない。
これに対し、「この1年間で感染第3波まで経験した中で、特に都市部では感染した人がもっと多いと考えられる」と主張するのは、医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏だ。森田氏によると、体内に外部からウイルスが入ると、ウイルスを殺す「T細胞」や、抗体を作るための「B細胞」、異物や細菌を消化する白血球の一種「マクロファージ」などの免疫が反応する。
米疾病予防管理センター(CDC)の査読付きオープンジャーナルに掲載された仏研究者の論文では、抗体を産生する「セロコンバージョン」が発生しなくても、T細胞の応答があった例があるといい、「抗体の前段階のT細胞やB細胞、マクロファージなどの反応を確認するのは難しいが、一般的に免疫応答は複数の経路があり、抗体ができたかどうかだけをみていても見誤る可能性がある。論文も抗体ではなく、T細胞でウイルスが撃退されたことを示している」と森田氏は指摘する。
抗体検査に反応しなくても新型コロナウイルスを撃退した可能性のある人は多いというのだ。
緊急事態宣言解除後の第4波を懸念する見方もあるが、ワクチンの普及までどれほど耐える力はあるのか。
森田氏は、「感染者数が減っているのは自粛の影響も多少はあるかもしれないが、6~7月に感染が減り、10~12月ごろから拡大、翌年1月に大きな山を迎える傾向は、過去のかぜのコロナウイルスでも同様だ。今後、小さい波は来るかもしれないが、冬のような形で第4波が訪れることは考えにくいのではないか」との見方を示した。