女性蔑視発言が世界的に問題となっていた森喜朗氏(83)が東京五輪組織委会長職からの辞任を表明した。12日に都内で行われた理事・評議員の合同懇談会の冒頭で一連の問題発言を謝罪し、同日をもって会長職からの退任を発表した。淡々と自身の実績などを語った一方で、未練や不満を漏らした。
引責辞任への引き金になった女性差別発言については「女性蔑視の気持ちは毛頭ないし、これまでも障害のある人、ない人、全て同じように扱ってきた」と釈明。さらに「余計なことを申し上げたとか、これは解釈の仕方と言うとまた悪く書かれてしまいますけど、意図的な報道もあったんだろうと思います。女性蔑視などと言われまして、女性の皆さんをできるだけたたえてきましたし、発言をしてもらおうと絶えず(理事会を)進めてきました。あえてお名前まで申し上げて『(理事の)谷本(歩)さんどうですか?』など本当にお話いただいたと思います」と続け、「この一言でこうなったというのは、私の不注意もあったかもしれないが、長い83年の歴史の中で一番情けないことを言って、皆さんにご迷惑をかけた」と陳謝した。
また、「老害」と批判されてきたことについても「老害、老害、というが、年寄りは下がれというのは良い言葉じゃない。老人も、日本の国、世界のために頑張っているから、老人が悪いように言われるのは極めて不愉快」と不快感を示すなど最後まで意地を示した。
前日にはIOCのバッハ会長、調整委員会のコーツ委員長とも約1時間ほど電話で会談し、バッハ会長から「ここまでよくしっかりやってくれた。2020の大きな成果だ」とのねぎらいの言葉を受けたことを明かした。失言により失職したことで「組織委員会は約8年になるが、小学校で終わったような感じ」と未練も見せた。
10分を予定していた冒頭のあいさつは15分に及び、最後は「遅滞ないように運用していかないと思った。私がいることでご迷惑をかけたら努力は無になる」と森氏。後任の新会長の選定については「率直なご意見を頂いて、意味のある会であった、と私にとっても理事会、評議員会、最後の会が心に残るように運用していって頂きたい」と語り、着席した。