奈良のダム湖で10歳死亡 誘拐容疑、父逮捕 「一緒に死のうと」

小学4年の長女(10)を殺害目的で養護学校から連れ出したとして、奈良県警は13日、父親で調理師の徳谷和彦容疑者(36)=同県宇陀市=を生命身体加害誘拐の疑いで逮捕した。同日朝、同県川上村のダム湖で長女が浮かんでいるのが見つかり、間もなく死亡が確認された。県警は無理心中を図ったとみている。
亡くなったのは長女の奈那子さん。身体障害と知的障害があり、同県明日香村の養護学校に通っていた。県警は司法解剖で詳しい死因を調べる。
逮捕容疑は12日午後2時50分ごろ、養護学校を訪れ、「おばあちゃんたちに会いに連れて行ってあげたい」などと教員にうそを言って長女を連れ出し、軽乗用車に乗せて誘拐したとしている。「ダムに入って一緒に死のうと思ったが死にきれず、自分だけ岸に上がった」「長女の介護が妻の負担になっていた」などと容疑を認めている。
徳谷容疑者は13日未明、ダム湖近くの駐車場に止めた車の中で、ずぶぬれで放心状態になっているのを発見された。長女が帰宅しないのを不審に思った妻が12日夕、交番に届け、県警や学校関係者らが捜索していた。
県警によると、徳谷容疑者は妻と子ども3人の5人暮らし。父親が営む料理店に勤めていたが、11日に父親と口論になっていた。
近隣住民によると、徳谷容疑者は自治会の行事にも参加するなど気さくな性格。近くの男性は「どうしてこんなことになってしまったのか」と話した。【小宅洋介、林みづき】