「わずかに寒けと微熱、翌日には回復」ファイザーワクチン接種の在米邦人女性

米国では昨年12月から、医療関係者や高齢者の新型コロナウイルスワクチン優先接種が始まっている。京都市出身で中西部ミシガン州に住む日本人女性(57)が、医療関係者としてすでに2回の優先接種を終えた体験を語った。
歯科医院の受付で働く女性は保健所のウェブサイトから申し込み、1月14日と2月4日に米ファイザー製ワクチンの接種を受けた。地元消防署のガレージを使うドライブスルー方式で、会場到着から5分ほどで上腕部への接種が完了した。
「一気にプスッと刺す痛みは一瞬。でも副反応が出ないかどきどきした」
日本での予防接種は、斜めに浅く針を刺す皮下注射が一般的。しかし今回のワクチンは、皮下組織の下にある筋肉まで針をまっすぐに深く刺す筋肉注射で投与される。海外では多くのワクチンでこの方法が採用されているといい、女性も違和感は覚えなかった。
接種後は待機場所に車を移動し、15分過ぎるのを待つ。急激なアレルギー反応が出るアナフィラキシーショックに備え、周囲を係員が巡回していた。
副反応としては腕に筋肉痛のような痛みがあった。2回目の接種後の夜、わずかに寒けと微熱を感じたが翌日には回復したという。
同時に接種した米国人の同僚7人のうち、半数は発熱で解熱剤を服用した。職場では「副反応は心配だったがコロナに感染したくない」や、「接種したらマスクをしなくていいよね」といった会話を聞いた。ワクチンへの理解はひとそれぞれだと感じたという。
50代以上の同僚は大半が接種済みか予約待ち。「接種しない考えの人は若手や妊娠中の数人。職場の4人にひとりほどで、思ったより少ない」と話す。
コロナの影響で女性は1年以上も帰国できず、高齢の母親にも会えていない。「接種が進み、米国も日本も、感染が収束に向かってくれたら」と話した。
米国では人口の約1割の約3580万人が1回以上接種を終えたが、一般の人への接種はまだ始まっていない。供給の遅れが懸念される中、米政府は7月末までにほぼ全ての国民に、ファイザーと米モデルナ製のワクチンを供給するとの見通しを明らかにしている。(石川有紀)