新型コロナワクチン、国内初の正式承認 米ファイザー製

厚生労働省は14日、米製薬大手ファイザー社が申請した新型コロナウイルスワクチンを正式に承認したと発表した。新型コロナウイルスワクチンの承認は国内で初めて。政府はファイザー社と年内に1億4400万回分(2回接種で7200万人分)の供給を受けることで契約しており、17日にも医療従事者約1万人を対象にした先行接種が始まる。
12日に開かれた厚労省薬事・食品衛生審議会の専門部会が、緊急時などの条件の下で通常よりも手続きを簡略化できる「特例承認」を了承。これを受け、田村憲久厚労相が14日に正式に承認した。
ワクチンはファイザー社と独バイオテクノロジー企業ビオンテックが共同開発した「コミナティ」。ウイルスの遺伝情報を担うRNA(リボ核酸)の一部を体内に入れ、抗体を作る新しいタイプだ。
原則21日間の間隔をあけて、2回筋肉に注射する。接種対象年齢は16歳以上。発熱している人や重い急性疾患にかかっている人、過去にワクチンの成分により重いアレルギーがあった人は副反応リスクが高まるため、接種するのは適当ではないとした。妊婦は接種の有益性が危険性を上回る場合には接種が可能とした。高齢者については、医師が慎重に問診し、健康状態を十分に観察するよう注意喚起している。
ファイザー社は、海外で約4万4000人が参加して実施された臨床試験で95%の有効性が確認されたと発表している。厚労省によると、国内で160人を対象にした臨床試験では、感染防御に働く「中和抗体」値の増加が、欧米でのデータと同程度確認されたという。
接種部位の痛みや倦怠(けんたい)感、頭痛などが一定程度の頻度で報告されたが、重篤な副反応は確認されなかったという。ただし、海外での接種事例ではまれに重いアレルギー反応があることが報告されている。
厚労相は16日に予防接種法に基づき、接種対象者やワクチンの接種開始日などを自治体に指示。17日に全国の国立病院など100カ所の医療従事者1万~2万人に先行接種を始める。続いて3月中旬に他の医療従事者など約370万人に接種する。65歳以上の高齢者約3600万人への接種は4月1日以降となる。その後、持病がある人や高齢者施設の従事者らに順次優先的に接種するが、開始時期は決まっていない。
新型コロナウイルスのワクチンを巡って日本政府は、ファイザー社のほか米バイオ企業モデルナと英製薬大手アストラゼネカからそれぞれ5000万回分、1億2000万回分のワクチンの供給を受けることで契約している。【金秀蓮】
厚労省が相談窓口設置
厚生労働省は新型コロナウイルスワクチンの接種に関する相談や疑問を受け付ける電話の相談窓口を15日に開設する。ワクチン接種への疑問や不安を解消するのが狙い。フリーダイヤル0120・761770。受付時間は土日、祝日を含め午前9時~午後9時。
市町村も今後、相談窓口を設置する。接種場所やスケジュールに関する質問は自治体の窓口で対応する。