兵庫県宝塚市の市立長尾中で2020年9月、男子生徒2人に柔道技をかけて重軽傷を負わせたとして傷害罪に問われた元同中教諭、上野宝博(たかひろ)被告(50)に対し、神戸地裁は15日、懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。国分史子裁判官は「対話を通じて内省を促すこともできた。何ら教育的効果のない体罰にほかならない」と非難した。
判決によると、柔道部の顧問だった上野被告は20年9月25日、1年生部員2人が師範室の冷蔵庫にあったアイスクリームを無断で食べたことに立腹。「バトルするぞ」と言って武道場で、初心者の2人に投げ技や寝技をかけ、1人に背骨を折る重傷を負わせ、もう1人にも足などにけがをさせた。逃げようとした重傷の生徒を引き戻し、気絶しても平手打ちして起こし、技をかけ続けた。また、恐怖で壁にしがみついたもう1人の生徒を無理やり寝転ばせて押さえ込んだ。
国分裁判官は「被害者が謝罪したのに、怒りの感情を爆発させ執拗(しつよう)に暴行した」と指摘。前任校でも体罰で処分を受けており、「問題性は根深い」とした。一方で、20年11月に懲戒免職になっており、「社会的制裁を受けている」として執行猶予を付けた。
県教委は体罰を制止しなかった副顧問の教諭も減給処分にし、全日本柔道連盟は上野被告を除名処分にしている。【山本真也】