青森県五所川原市(旧金木町)出身の作家、太宰治(本名・津島修治)の旧制青森中学時代の成績表を、県立青森高校(青森市)が公開した。国語だけでなく数学や化学など理系科目でも成績が良く、運動も得意だったことが読み取れる。しかも無遅刻、無欠席。後の太宰のイメージとはかけ離れた、まじめな人物像が浮かび上がった。(福田徳行)
代数は100点も
太宰は大正12(1923)年4月、同校の前身、旧制青森中学に入学し、当時5年制だった中学を4年で卒業した。
見つかった成績表は全部で9種類で、4年前に同校内で段ボール5、6箱に入って見つかった大正から昭和初期の成績表の束の中に、太宰の成績も含まれていた。このうち、卒業時に162人中4位の成績で卒業したという成績表は過去に公開されている。今回、残りの学年と学級ごとの成績が記された8種類の開示について、遺族の了解が得られたことから創立120周年を迎えた昨年12月の生徒会新聞「青高新聞」で初めて公開した。
成績表を見ると、国語は常に90点台で、漢文、文法、作文も80点台から100点。学生時代から作家として歩み始め、後に文豪と呼ばれるまでになった才覚の一端が垣間見える。
さらに、数学の「代数」「幾何」も常に80点以上の高得点で、特に代数は3年生時で100点を取っている。英語、化学も90点以上で、理系科目も成績優秀だったことがうかがえる。さらに、体操も80~90点台と好成績を残していた。
10段階の評定はほぼ9か10で、2年生修了時は191人中7位、3年生の時は3位と、4年間を通して安定して高い成績だったことが分かる。
幅広い教養あればこそ
4年前に同校に赴任し、生徒会新聞を指導している西谷ともえ教諭は「総じて優秀な成績を残していた。本校でこれだけの成績を維持するのは簡単ではない。5年制を4年で卒業したこともうなずける」と話し、真面目で優秀だった太宰に目を見張る。
同校の現在の生徒数は836人で、卒業後は難関国公立大や有名私立大に進学する県内トップクラスの進学校。宍倉慎次校長は「太宰は文系、理系に関わらず成績が優秀で、幅広い教養があったからこそ、想像力、表現力を磨くことができたのではないか。今の生徒もバランスの取れた学習をして文武両道を目指して励んでほしい」と話している。
文豪として名をはせ、ファンも多い太宰だが、その後の私生活では女性関係のもつれなど波瀾(はらん)万丈の人生だったといえる。ただ、今回見つかった成績表からはまじめな側面を垣間見ることができ、同校は太宰を知る上で貴重な資料として大切に保管し、今後の研究に生かしたいとしている。