オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空請求など巧妙な嘘で高齢者を中心に被害が相次ぐ特殊詐欺は、コロナ禍の昨年も被害総額が約277億円にのぼった。全国の警察では、被害者に接触して現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」役の特徴をまとめた「手配書」を作成して警戒を呼びかけるが、受け子側も巧妙化しているようだ。
警察庁によると、昨年の特殊詐欺の認知は1万3526件(前年比19・7%減)、被害額は277億8000万円(同12・0%減)と減少しているが、被害規模は大きい。うち給付金交付詐欺などコロナ関連は55件、被害額は約1億円だった。
犯行は組織的で、グループを金銭的に支援し犯罪収益を吸い上げる「金主」、全体を統括する「番頭」、電話をかける「架け子」、現金を引き出す「出し子」など役割が分かれている。
被害者と直接対面する「受け子」の外見について、栃木県警などが過去の事例から共通した特徴をまとめたポスターを作成した。具体的には、「体形に合わないスーツを着ている」「スーツ姿なのに運動靴を履いている」「スマホを注視しながら歩いている」といった特徴があるという。
特殊詐欺の捜査に専従していた経歴を持つ元千葉県警刑事課長の田野重徳氏は「詐欺組織も巧妙で、最近は体形に合った自前のスーツを着用している場合もある」と指摘し、「ただ、スーツ姿なのに運動靴を履いているなど、明らかに不審だと判断する材料もある。インターホン越しに受け子とみられる人物と話す場合、靴を見せてもらうよう打診するのもいいのではないか」とする。
詐欺被害や悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は、「冬場はスーツ姿の受け子が多いが、夏場はクールビズの名目でカジュアルな服装のケースもある」と解説する。
外見で判断できない場合はどう対処すべきか。前出の田野氏は「銀行員が直接キャッシュカードを受け取りに来ることがあるのかなど常識的な視点から判断することは重要だ。同居人や近隣住民、警察などにためらわず相談してみるといいだろう」とする。
前出の多田氏は「被害者に考える隙を与えないため、受け子が被害者宅に到着するまで電話を続ける手口もある。一度電話を切りたいと言っても切ろうとしなければ怪しいと判断できる」と助言した。いつ詐欺組織に狙われるか分からない以上、事前の対策が肝要だ。