上官という立場を利用して、女性隊員を「性欲のはけ口」にしていたのだから極めて卑劣だ。
訓練中に演習場で女性隊員に性的暴行を加えたとして陸上自衛隊北部方面隊第7師団(北海道千歳市)は先月25日、第7特科連隊所属の40代幹部自衛官を同日付で懲戒免職処分にした。
幹部自衛官は昨年7月、矢臼別演習場(別海町など)で行われた訓練中に嫌がる女性隊員の体を押さえ、無理やり行為に及んだ。
女性隊員が直属の上司に報告し、事態が発覚。幹部自衛官は11月、自衛隊内の警察「警務隊」に逮捕され、12月、釧路地検が強制性交等罪で起訴した。
「第7特科連隊の周囲には演習場がいくつかあります。矢臼別では定期的に訓練を行っていて、その際は演習場内にある宿泊施設か、天幕で寝泊まりすることになっています」(自衛隊関係者)
幹部は隊内の調べに対し、「自己の性的欲求を満たすために暴行してしまった」と話しているというが、第7師団は幹部の名前を含め、階級や所属先、職務内容、事件の詳細など一切明らかにしない。それについて理由を聞いた。
「なぜかというと、懲戒処分の公表ということであくまでこの目的については、防衛省の行政の透明性を確保することと、公表することによって隊員の自覚を促して同種事案の再発防止を図ることです。本人が特定されることによって必要以上の不利益を与えないように公表していません。警察官は逮捕されると名前を公表される? 我々は警察とは違います。被疑者が特定されないというのが前提です」(広報課担当者)
■身内が不利益になるからというあきれた言い分
詳細についてはかたくなに口を閉ざし、「懲戒処分を公表したから透明性が保たれた」と言わんばかり。処分を発表するより、幹部の名前や立場を明らかにした方がよっぽど再発防止に効果があるはずだ。
しかも「被害者の特定を防ぐため」に名前を公表できないというのならまだしも理解できるが、「必要以上の不利益を与えないように」というのだからあきれるばかり。これでは身内をかばっていると捉えられても仕方あるまい。絶対的な立場にモノをいわせて抵抗できない部下を辱めておきながら、このままでは社会的制裁を受けることもなく、何もなかったように再就職して同じことを繰り返す可能性だってある。
懲戒処分の発表で幕引きとは、世間一般と感覚がズレ過ぎている。