日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(66)(会社法違反などで起訴)の逃亡を手助けした疑いのある米国籍の親子が東京地検特捜部に逮捕され、2日夕にも米国から日本に到着する。世界に激震が走った逃亡劇から約1年2か月。親子は、保釈中で様々な制約を課されていたゴーン被告とどう連絡をとっていたのか。逃亡には未解明な部分も多く、特捜部がどこまで全容に迫れるかが今後の焦点となる。
「日本の司法制度の人質ではなくなる」。中東レバノンに逃亡したゴーン被告は2019年12月31日、米国の広報担当を通じて、こうした声明を出した。
特捜部は年明け早々の20年1月2日、入管難民法違反(不法出国)容疑で、ゴーン被告が保釈中に生活していた都内の住居を捜索。警視庁の協力を得て防犯カメラの解析などを進めた結果、マイケル・テイラー(60)、ピーター・テイラー(28)の両容疑者親子とジョージ・ザイェク容疑者(61)の関与が浮上した。
特捜部などの捜査によると、ピーター容疑者は19年7月以降、ゴーン被告が逃亡した同12月29日までに4回来日し、ゴーン被告と面会を繰り返した。
一方、逃亡当日にプライベートジェット(PJ)で関西空港に到着したマイケル、ザイェク両容疑者は新幹線で上京。ピーター容疑者が予約したホテルの客室でゴーン被告と合流後、ゴーン被告を護衛しながら大阪に戻り、音響機器用の箱に隠して出国した疑いのあることが明らかになった。
ただ、当時のゴーン被告は保釈中。保釈条件により、住居には監視カメラが設けられ、携帯電話やインターネットといった通信手段の使用も制限されていた。3容疑者といつ知り合い、事前にどのようなやりとりをしていたのかは、ほとんど分かっていない。
米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」元隊員だったマイケル容疑者。米国の裁判記録によると、1982年にレバノンに派遣され、83年の除隊後も現地で民兵の訓練などに関わったとされる。
94年に米マサチューセッツ州で民間の軍事警備会社を設立すると、メディア企業や航空会社、米政府関係者を顧客に、中東での警備コンサル業務などで実績を積んだ。2009年にはアフガニスタンで拘束されたニューヨーク・タイムズ記者の救出にも関わるなど、海外の警備業界では名の知られた存在だった。