福岡県太宰府市で2019年、主婦の高畑(こうはた)瑠美さん(当時36歳)を暴行して死亡させたなどとして、傷害致死や死体遺棄罪などに問われた山本美幸(42)、岸颯(つばさ)(25)両被告の裁判員裁判の判決で、福岡地裁は2日、傷害致死罪などで山本被告に懲役22年(求刑・懲役23年)、岸被告に懲役15年(求刑・懲役16年)を言い渡した。一方、死体遺棄罪については両被告とも無罪とした。
高畑瑠美さんの事件を巡っては、高畑さんが死亡する前から家族が佐賀県警に複数回相談していたが、被害届が受理されなかったとして遺族が県警の対応を批判している。
遺族は、高畑さんが山本美幸被告と行動するようになってから高畑さんの異変に気づき、2019年6月から県警鳥栖署に、山本被告から高畑さんを引き離してほしいなどと相談を繰り返したと訴える。19年9月には高畑さんの夫裕さん(36)が「山本被告らから脅されている」と通話の録音データを持ち込んで被害届の相談をしたが、対応してもらえなかったという。
一方、県警は20年10月に署の対応が適切だったとする内部調査の結果を公表。杉内由美子前本部長は21年1月の記者会見で、遺族の相談内容は金銭トラブルで「(高畑さんに)直ちに危害が及ぶとは認められなかった」と述べ、対応に不備はなかったとした。2月に着任した松下徹本部長も同様の見解を示している。
福岡地裁の判決後、裁判員を務めた50代女性は記者会見で「県警の対応はとんでもない。何かないと動かないのでは防犯の意味はない」と批判した。別の40代女性も「もう少し市民側の目線に立って対応していただけたら」と語った。
高畑さんの遺族は判決後に「検察側の主張が通り、うれしく思う」とする一方「死体遺棄罪で無罪は残念としか言えない。両被告の反省のない態度に同情の余地はない。瑠美のような被害者を生まないために関係各所には対応を望みたい」とのコメントを出した。
県警は2日、判決を受けて「県警としてコメントできる立場にない。ご遺族に対しては改めてお悔やみを申し上げる」とした。【宗岡敬介、高橋広之】