中国海警法成立 八重山漁港所属の漁船が執拗に追尾される【緊急連載 尖閣諸島“開戦”前夜】

【緊急連載 尖閣諸島“開戦”前夜】#1

中国は海警局艦艇に武器使用を認める海警法を2月1日に施行し、施行後の1カ月間に中国海警局艦艇が6日にわたって領海に侵入、このうち5日間3回にわたって操業中の日本漁船を追尾した。日本が上陸阻止に向けて自衛隊の「危害射撃」が可能と踏み込めば、中国は断固対応し侵入を常態化させる方針を明らかにした。日本は尖閣を守れるのか? そのためには何が必要なのか?

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「安全な漁ができるような状態ではなかった」

2月15日から16日にかけて中国海警局艦船の追尾を受けた八重山漁協所属の鶴丸船長で石垣市議も務める仲間均(71)は「八重山日報」に語った。

海警法施行後、海警局艦艇が初めて尖閣諸島(中国名:釣魚諸島)領海に侵入したのは海警法が施行されてから5日目となる2月6日に始まり(翌7日まで)、15日~16日、20日~21日と6日におよび、20日を除く15~16日、21日の計5日(3回)は日本漁船を追尾。鶴丸に対しては最長の26時間にわたった。

仲間は石垣市議を7期務める重鎮で「尖閣諸島を守る会」の代表世話人も務める。1996年には尖閣諸島最大の島である釣魚島に初上陸。その後も2012年1月と4月に2回上陸、漁師や市議としてだけではなく“活動家”としても名高い。

鶴丸に先立つこと8日前、2月6日から7日にかけ第一桜丸、恵美丸の2隻が海警法成立後初めて追尾を受けている。この2隻は追尾されている模様をカメラで撮影しYouTubeに公開した。

この映像をご覧になれば分かるように第一桜丸は「日本文化チャンネル桜」が有志の寄付を元に購入した漁船で、八重山漁協所属。これまでに尖閣水域に国会議員を乗船させて洋上での抗議活動、上陸活動の母船ともなっている。昨年6月21日には海上保安庁巡視船帯同の下、恵美丸とともに尖閣水域で海警局艦艇の追尾を受けながら操業し、その収穫を東京に空輸。25日には衆議院第2議員会館で試食会を催している。

執拗な追尾を受けた鶴丸、第一桜丸と恵美丸の氏素性がおぼろげにも見えてくると昨年11月、来日した中国外相兼国務委員・王毅が発した「真相不明の一部漁船」なる謎かけの答えが見えてきた。=敬称略(つづく)

(甘粕代三/売文家)