変わらぬ“ザル入国”、2月だけで1万人超の外国人が「再入国」 入国後の管理も自主性任せ…自民党・佐藤正久氏が苦言「甘すぎる」

新型コロナウイルスの「水際対策」として、外国人の入国がビジネス目的の往来も含めて原則ストップするなか、2月だけで、日本での在留資格があれば認められる「再入国」などで計約1万4000人の外国人が日本に入国していたことが分かった。ただ、入国後の自宅待機などの対策は相変わらず強制力がない。感染力の高い変異株の流入拡大が警戒されるなか、こんな「ザル入国」を許していて大丈夫なのか。

「日本は、入国後の外国人らの管理もあくまで自主性任せ。先進国の中でもかなり緩く、甘すぎる。これでは国民の不安は収まらない」
「ヒゲの隊長」こと自民党の佐藤正久外交部会長は5日朝、水際対策を話し合う党内の会合で、こう語った。
出入国在留管理庁が同日、公表した資料では、2月は外国人入国者数が1万3824人いた。このうち1469人が人道上の配慮が必要な場合などの「特段の事情」での入国者で、残りの1万2355人が査証(ビザ)を持つ「再入国者」だった。
佐藤氏は「『特段の事情』での入国は公益性を考え、外交官やワクチン関連などに、かなり限定した形で審査を行い、2月は1月よりも約1000人減った。だが、問題は『再入国者』だ。在留資格がありさえすれば入国できるのでは困る。こちらも、より厳しく対処すべきだ」と指摘する。
ここ半年の外国人入国者数(総数)の推移は別表の通り。2月の「再入国」の内訳では、中国人が約3000人、韓国人も約1700人いた。
世界では約60カ国・地域で変異株が確認されている。日本では、英国や南アフリカ、ブラジルに由来する3種類の変異株を監視しており、4日までに19都府県で変異株が検出された。中国や韓国でも変異株は見つかっている。
政府が水際対策に失敗すれば、経済の回復は遅れ、東京五輪・パラリンピックの開催にも悪影響を及ぼしかねない。
前出の佐藤氏は「政府は外国人の入国後の位置情報確認アプリ導入など逐次、対策を進めているが、まだ不十分だ。しかも、変異株が確認された国への対応も『今後、強化策を検討する』と言うのでは遅すぎる。『いかに入国させないか』という視点で対応を急ぐべきだ」と語っている。