【独自】いまや「プレハブ」ではない仮設住宅の主流…震災以降、賃貸活用の「みなし仮設」7割以上

東日本大震災をきっかけに、賃貸住宅を活用する「みなし仮設住宅」が主流となり、その後の大規模災害では仮設全体の7割以上になっていたことが内閣府への取材でわかった。
災害で住まいを失った人が入居する仮設住宅には「みなし仮設」と、プレハブなどの「建設型仮設」の2種類がある。東北の被災地では、地理的な条件などから、建設型仮設の用地の確保が難航、被災者が自力で見つけた賃貸住宅に入居する例が相次いだ。
みなし仮設は従来、自治体が借り上げて、被災者にあっせんするルールだったが、東日本大震災では被災者が見つけた賃貸住宅も仮設とみなし、家賃などを全額補助するよう、政府は災害救助法の運用を見直した。
みなし仮設は岩手、宮城、福島の3県を中心に、最大で7万4810戸(約20万人)、全体の60%を占めた。3県によると、現在598戸に1007人が暮らす。
内閣府によると、2016年の熊本地震は78%(1万4923戸)、18年の西日本豪雨では85%(3824戸)、19年の台風19号では90%(3136戸)に達した。
ただ、賃貸住宅は都市部に集中しているため、被災地の人口流出も招く。国立研究開発法人・建築研究所の米野史健上席研究員は、岩手、宮城両県で、被災した自治体とは別の自治体のみなし仮設に入居した約9000件の転居先を分析した。その結果、両県とも6割が震災前の自治体に戻っていなかった。
◆みなし仮設住宅=被災者に貸し出されるマンションやアパート、戸建て住宅など。「建設型」と同様、家賃は自治体などが全額負担する。地域ごとに基準額がある。入居期間は原則2年だが、東日本大震災では繰り返し延長されている。