楽天は西友と共同で9月21日から、日本初となる自動走行ロボットを使った一般向け配送サービスを開始する。期間は10月27日までの約1カ月。神奈川県横須賀市にある「うみかぜ公園」でバーベキューやピクニックをする人に向けて提供される。なお、雨天時には営業しない。
今回のサービスでは、自動走行ロボット「UGV(=Unmanned Ground Vehicle)」を活用。自動運転かつ無人運転で、公園内に設置された6つの受け取り場所を1日4回、周回する。ユーザーは専用のアプリから受け取り場所を指定し、商品を注文。商品はうみかぜ公園に隣接する西友リヴィンよこすか店から発送される。肉や飲み物、救急用具などを中心に400品目が用意されている。注文した後、楽天が提供するペイメントサービス「楽天ペイ」を使って決済すると、予約した時間に合わせてUGVが配送する流れだ。
予約が完了した後、西友の店員が商品をピックアップしUGVに搭載。後は自動的に公園内を走行する。最高時速は20キロほどだが、デモンストレーションでは5~6キロほどで走行した。走行ルートはあらかじめUGVにマッピングされており、管理センターなども必要としない。また、進路に障害物があったり、人がいたりした場合には自動で避けながら進む。アプリ上から現在のUGVの位置をリアルタイムで確認できる。UGVが受け取り場所に到着したら、アプリに通知がされる。ユーザーがアプリに届いた暗証番号をUGVに入力すると、荷物ボックスが開き、商品を受け取ることができる。なお、注文した商品とは別に300円(税込、以下同)が配送料として必要。
楽天の担当者によると、物流業界では今、配送コストの増大により「配送クライシス」が起こっているという。EC市場が活況を帯びる中、人手不足が深刻化している状況だ。公益社団法人全日本トラック協会の調査「トラック運送業界の景況感(2019年4月~6月期)」では、「労働力の不足感」という項目でおよそ7割が「不足」「やや不足」と回答している。UGVの展開で、こうした「ラストワンマイル」の人手不足を解決したい考えだ。
また、子どもが熱を出したり、自分が急病になったりと「買い物に行きたいのに行けない」といったニーズも見込む。
現状では公園内のみでのサービスだが、数年以内には公道を走らせ、一般家庭への配送を目指すという。一般配送については、UGVを複数台展開。現状の宅配のように一度に何件も配送するのではなく、小規模な荷物を各配送先ごとに届けるビジョンを描いている。
「道路交通法はかなり手ごわい」
UGVは既に「技術的に、やろうと思えば公道を走らせることはできる」(担当者)が、最大の壁は道路交通法だ。担当者が「かなり手ごわい」と話す同法は、そもそもこういった無人ロボットが道路を走行することを想定していない。また、歩道を走行するのか、車道を走行するのか、といった議論もあり、課題は山積している。
こうした状況の中、経済産業省は「自動走行ロボットの社会実装に向けた官民協議会(仮)」を設置。20年2月までにかけて、全4回の開催を予定している。同協議会では、安全性の確保や高齢者など「交通弱者」に対する配慮、ならびに事故時における責任所在の明確化などをテーマにする。
今回のデモンストレーションでは、西友リヴィンよこすか店からドローンの発車も行われた。楽天は、ドローンによる配送も既に行っている。うみかぜ公園の対岸に位置する猿島まで、UGVと同様に西友リヴィンよこすか店から商品の発送を展開(配送料500円)。19年7~9月まで、木・金・土の週3日で実施しているが、既に70件以上の注文があり、「予約を受け付けると瞬時に埋まってしまう」というほどの人気ぶりだ。こちらもUGVと同様、人の手によらず自動運行する。担当者によれば「ドローン分野では、もともとの規制法がないので、UGVに比べると普及のハードルは低い」とのことだが、まだまだこちらでも実用化に向けた整備が進んでいないのが現状だ。
一方、技術面では準天頂衛星システム「みちびき」を使った配送実験が進んでいる。これまでGPS等を使用していた場合、目的地との誤差が数メートルだったのに対し、みちびきの測位情報を使用した場合、数センチまで縮小したという結果が得られている。
このように、技術の革新が進む一方で、普及がなかなか進まない現状がある。楽天が掲げる「無人ソリューションで新たな産業革命を起こす」の実現には、まだまだ時間がかかりそうだ。