政府は18日、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日の期限で解除すると正式決定する。変異株が主役となる恐れがある「感染第4波」への備えは待ったなしだが、最大の課題は医療崩壊を防ぐための病床や人材の確保だ。
◆都内感染者数リバウンド兆候
政府は宣言解除に当たり(1)飲食店支援(2)医療提供体制の充実(3)変異株対策の強化(4)検査拡充(5)ワクチン接種の推進-を柱とする新たな施策を打ち出す。
東京の17日の新規感染者が1カ月ぶりに400人を超え、宮城県では過去最多の107人を記録するなど各地でリバウンドの兆候を示しており、医療体制の充実が急務だ。田村憲久厚生労働相は都道府県に病床確保の計画見直しを求める方針で、増床の規模について「2倍というのは一つの例示」とした。
第3波で首都圏は医療崩壊に直面した。東京は入院病床の使用率が1月5日に86%、重症病床は同20日に64%に達した。都担当者は「宣言解除後の対応は検討中だ」とする。
神奈川県は1月19日に即応病床の使用率が軽症・中等症用が88%、重症用が95%。県担当者は「国に先立ち1月から病院や病床を確保する取り組みを進めている」。
千葉県では入院病床の使用率が2月8日に73%、重症病床は1月21日に77%。今後は「国の計画見直しを踏まえてから」と同県担当者。
埼玉県は1月31日に入院患者の病床使用率は75%、重症者の使用率は同22~24日に66%。「今以上の病床確保は厳しい。補助制度などの支援も必要だ」と同県担当者。
大阪府は、重症病床などの確保に取り組む医療機関を公募し、整備費用の支援などを掲げた。
コロナ患者を受け入れてきた病院はどう考えるのか。「正直限界だった」と語るのは、東海大医学部付属病院高度救命救急センターの守田誠司所長。病床だけでなく、スタッフの問題も大きいという。「重症・中等度合わせてコロナ対応に必要な看護師は15人程度、交替制で5倍の75人程度が必要になる計算で、40人の看護師を必要とする一般病棟2つ分に近い。中等症に軽減した患者を地域の別の病院に移すこともあったが、受け入れを断られる場合もあった」と振り返る。
今後の対応として、「専用病院の建設や国公立病院の転用、建て替え中の病院を充当する施策を進めるべきだ。神奈川県ではピーク時、自宅・宿泊療養含め、2000人程度に達したが、400床程度の病棟が要員とセットで4~5カ所は必要ではないか」とみる。
◆真野俊樹氏「専門家教育など施策も必要」
近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)の東田有智院長は、「コロナ対応病床は最大12床あったが、宣言解除周辺で元に戻すよう要請があり、現在は10床に減らした。解除後こそピーク時に確保した病床数程度を維持するための資金投入が必要ではないか」と指摘する。
医療制度に詳しい総合内科専門医で中央大大学院教授の真野俊樹氏は、「ICU(集中治療室)や結核病棟のような隔離病棟の対応力を強化することが重要だが、増床しても医師や看護師が不足する問題に直面する。感染対策チームと、ウイルス学や疫学など研究者との連携を増やすことや、感染症の専門家教育を充実させる施策も必要ではないか」と語った。