口紅やマスカラにも「マイクロプラスチック」…海に流出、生態系への悪影響を懸念

化粧品や衣服などに微細なプラスチックが使用されていることは、それほど知られていない。マイクロプラスチック(MP)と呼ばれ、家庭から川や海に流れ、生態系への悪影響が懸念されている。政府や企業は代替素材の開発や量産に乗り出している。(安田信介)

口紅やマスカラなど化粧品には、つや出しなどの目的で、0・001~0・1ミリほどのMPが使用されているケースが多い。衣服にもポリエステルなどのMPが使われている。消費者が洗面台で化粧を落としたり、洗濯機で衣服を洗ったりすると、MPが下水道から川を通り、海に流れ出てしまう。
専門家によると、MPが人体に有害との研究結果は現時点でないが、海中で有害物質を吸着しやすく、プランクトンや魚などの体に蓄積されるため生態系への影響が懸念されている。このため数年前から国内外で削減の動きが広がってきた。

日本化粧品工業連合会は2019年、MPの一種である洗顔料や歯磨き粉の研磨剤「スクラブ」の使用禁止を決定。会員企業はスクラブの使用をやめているという。衣料関係でも、大手のアディダスやH&Mなどが植物由来の繊維など代替素材への転換を進めている。
一方、代替が難しいのは化粧品のMPだ。関東にある中規模の化粧品メーカーは、つやを出したり、伸ばしたりするため口紅やマスカラ、ファンデーション、アイシャドーなど11品目に使用している。同社の担当者は「手頃な価格の代替の素材が見つからない」と話す。

こうした中、国の補助金を使った開発も進む。
包装資材メーカー・レンゴー(大阪)は、木の繊維「セルロース」を、髪の毛の10分の1ほどの極小の球体に加工する技術を開発した。セルロースは土の中なら1~2週間、海中なら1か月で分解され、環境汚染につながりにくい。ファンデーションや口紅などへの利用を見込んでいるが、プラスチックより高価なのが課題だ。担当者は「なるべく安価な製造方法を模索している」と話す。
化学品メーカー・ダイセル(東京)は、テレビの液晶パネルなどに使っている酢酸セルロースを、日焼け止めやファンデーションの原料に加工することに成功。今年から販売を開始する予定で、欧米や日本の化粧品メーカーから問い合わせが来ているという。