「なぜうちの孫が…」 支柱折れ児童死傷 白石第一小で説明会

宮城県白石市の市立白石第一小で防球ネットの木製支柱が折れ児童2人が死傷した事故で、同小は29日、全学年の保護者を対象にした保護者説明会を開いた。保護者からは児童たちの精神的ショックを心配する声が上がった。突然の訃報に、孫を亡くした祖父は動揺を隠せずにいる。
事故は27日午後3時ごろに発生。白石署などによると、児童6~7人が建物にボールが当たるのを防ぐため設置されたネットに寄りかかったり、引っ張ったりしていたところ支柱が折れ、直撃を受けた6年生の松野翔慎さん(11)が死亡、もう1人の児童もあごの骨を折る重傷を負った。
説明会は1時間あまり開かれ、237人の保護者が参加した。終了後に記者会見した市教委の半沢芳典教育長によると、保護者からは、防球ネットの柱の管理状況を問う声のほか、事故を目撃したショックでしゃべらなくなったり、夜に突然泣き出したりする児童もいるとして心のケアを求める意見が多く出たという。
すでに同小には大学や関係団体から支援の動きがあるといい、半沢教育長は「支援を受けながら、できるだけ子どもたちが癒やされるような取り組みを継続的に速やかに行いたい」と話した。
祖父「初孫で優しい子」 当日、一緒に夕食予定
事故は、家族が思い描いた未来を突然閉ざした。翔慎さんの祖父で、白石市議の松野久郎さん(68)は取材に「初孫で優しい子だった。今もどうしていいか分からない」と悲痛な思いを打ち明けた。
翔慎さんは毎週、松野さんの家に遊びに訪れ、事故当日の夜も一緒に夕食を囲む予定だった。大型連休も新型コロナウイルス禍で外へ遊びに行けない分、家でバーベキューを計画していたといい「なぜうちの孫が……」と声を落とした。
27日は、児童たちが授業後にサッカーのユニホームに着替え、練習が始まるのを校庭で待つ時間に事故が起こったという。事故後、防球ネットを見た松野さんは「かなり古いのは間違いない。しっかり点検していればこんなことにはならなかった」と言葉少なに話した。【面川美栄】