【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】国民が肌感覚で共有する中国の脅威 「台湾有事」は「日本有事」 「現実的に、どう国を守れるのか」という議論必要

夕刊フジでは早い段階から、今後の国際外交のキーワードとして「台湾」について、さまざまな角度から書いています。拙欄でも何度か、その切迫ぶりを取り上げてきました。
日米首脳会談後の共同声明にも、「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」(外務省仮訳)と盛り込まれました。米国に対して働きかけを続けてきた日本外交の大きな成果であろうと思いますが、相変わらずの「巻き込まれ論」で批判する向きもあります。
かつてのベトナム戦争から湾岸戦争、さらにPKO派遣の際にも唱えられた、「米国の戦争に日本が巻き込まれる」という懸念です。
しかし、繰り返しますが「台湾有事」は「日本有事」に他ならず、日本は「巻き込まれる」といった悠長なものではなく、すでに「直面している」と言うべきでしょう。
国民は冷静に見ているようです。
テレビ朝日系列(ANN)の世論調査では、台湾有事の際に米軍とともに行動する必要があるかとの問いに45%が「必要ある」と答え、毎日新聞の対中政策に対する問いには、67%が「もっと厳しく対応すべきだ」と答えました。
外務省が行った外交に関する世論調査でも、東アジア地域を取り巻く安全保障環境について近年一層の厳しさを増したと考えるかとの問いに、実に82・4%が「そう思う」と答えています。対中外交で特に重視すべき点(複数回答可)を聞くと、69・3%が「領海侵入等に対して強い姿勢で臨んでいくこと」と答え、「人権、自由・民主主義・法の支配の尊重を求めていくこと」(50・3%)が続きました。
この設問は注目すべきもので、「日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、また、日中両国は、地域と国際社会の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、安定した日中関係は地域及び国際社会のために重要です」と前置きして設問に入っていて、かなり日中友好寄りのバイアスがかかった聞き方だったのです。にもかかわらず、回答はむしろ対中強硬が多数を占めたわけですから。
このように、国民が肌感覚で危機感を共有しているように見え、安全保障に関する議論も冷静に受け止めるだけの下地が形成されつつあります。前述の共同声明では、「日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した」(同)と盛り込まれました。
これをどう具体化していくのか?
敵基地攻撃能力の保持や、敵の射程外から発射できるスタンドオフ・ミサイルなどの装備品の増強、最終的には憲法改正も含めて、「現実的に、どう国を守れるのか」という議論が必要になるでしょう。世論が期待するのは、改憲護憲のイデオロギー対立ではなく、現実主義の議論です。
■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。