新型コロナウイルスの「蔓延(まんえん)防止等重点措置」が5日、宮城、大阪、兵庫3府県の6市で始まった。首都圏でもリバウンド傾向のなか、感染防止のため外出を減らしている高齢者も少なくないはずだが、自粛が長期間に及ぶことで、身体機能や認知機能の低下を招き、要介護の一歩手前の「フレイル(虚弱)」になる懸念も強まっている。フレイル状態でコロナに感染すると、重症化や死亡リスクを高めるという研究もあり、注意が必要だ。
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大阪府の4日の新規感染者は593人と日曜日としては最多。東京都も355人と増加傾向だ。
日本より感染者数が圧倒的に多い欧州などでは厳しい外出規制を課している国も多く、自宅にこもりきりになる高齢者が増加。イタリア・ミラノ大の研究では、満足な医療を受けられないことや感染への不安、近親者を亡くしたショックも悪影響を及ぼしている。
東海大医学部付属病院高度救急救命センターの守田誠司所長は、「フレイルは簡単にいうと『寝たきりの一歩手前』。コロナが直接的な原因というより、体力もギリギリの中で、全身の状態が悪くなると、(意識が混乱する)せん妄が出現すると理解している」という。
心療内科医で、ひめのともみクリニックの姫野友美院長によると、フレイルは、(1)筋力や運動機能が低下する「身体的フレイル」(2)うつ、物忘れ、軽度の認知障害をともなう「精神的フレイル」(3)外出の回数減で閉じ籠もりで孤立する「社会的フレイル」(4)口腔内ケアの減少で歯周病や歯の破損などの「オーラル(口腔内)フレイル」-の4つに分類されるという。
姫野氏は、「筋力低下は認知機能の低下につながり、知人との会話や外食の減少は孤立につながる。意識的に自粛していても、無意識のうちに外出がおっくうになる」と話す。
コミュニケーションが減少することで4つのフレイルはドミノ式に進行。体が弱った状態でウイルスに感染すると重症化リスクが高くなるという。英バーミンガム大の研究チームは12カ国でコロナ患者約5700人を調査した結果、深刻なフレイル状態の患者はそうでない患者に比べ、死亡率が3倍高かったとする結果を発表した。回復しても、従来以上の介護が必要になるケースが7倍に増えたとしている。
フレイルの予防や改善策としては、十分な栄養摂取、適度な運動、社会参加が決め手だと姫野氏は指摘する。「栄養は肉類、魚類、卵、大豆製品などタンパク質を1食で2種類以上、カロリー確保のため脂質の摂取も必要だ。高齢者も筋力低下を防ぐことは可能で、ルーティンでの外出も良い。散歩も1人より友人と待ち合わせてするのが効果的だ」とアドバイスした。