ワクチン接種で生活戻るか 12日から高齢者開始で予約殺到も…専門家「マスク外せるまで早くても2年」

12日から始まる高齢者用の新型コロナウイルスワクチン接種では、予約分が短時間で終了する地域もあるなど関心の高さを示した。今後、予約を確保して接種を終えるまで苦労がありそうだが、重症化しやすい高齢者もワクチン接種を受ければ自由な生活に戻ることができるのか。
大阪府など3府県で「蔓延(まんえん)防止等重点措置」が実施され、「次は首都圏」との警戒感も強まっている。
12日から接種を始める東京都八王子市では5日朝、コールセンターへの電話やインターネットの専用サイトを通じて先着順で予約を受け付けたところ、わずか約1時間半で上限の1900回分に達した。
国は高齢者用の第1弾として少なくとも青森、千葉、長野、兵庫、広島、福岡、沖縄など28都県の37市区町村で12日から接種を開始するが、本格化は26日からの週となる見通し。
5日には米ファイザー製ワクチン198万9000回分を積んだ全日空機がベルギーから成田空港に到着した。
河野太郎ワクチン担当相は、約3600万人と想定する全高齢者の半数の1回目分に相当する数量を5月下旬までに自治体に配送。6月末までに全医療従事者と高齢者分をまかなう約5000万人分(約1億回分)を供給できるとしている。
続いて基礎疾患を有する人や高齢者施設の従事者、60~64歳への接種が予定され、全人口の約5割にあたる約6050万人が対象となる。
「安心するには、100%接種が望ましい」と指摘するのは、日本医科大の北村義浩特任教授(感染症学)。「98~99%でも残された人に感染が広がる可能性がある。海外の特例承認など現在のワクチン供給体制に大きな変化がない限り、100%を達成するまでに今後1年半は要する」との見通しを示す。
オックスフォード大の研究者らが運営する統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、1回接種を終えた人の割合は英国が3日時点で46・44%、米国が4日時点で31・76%。
イングランド公衆衛生庁は、ファイザー製ワクチンの1回接種で、80歳以上の高齢者の死亡率が83%下がったとのデータを公表した。
ただ、前出の北村氏は、「効果が持続するかを見極めるには、接種後1年以上要する。マスクを外せるのは早くても2年程度かかるかもしれない。接種を受けていない小児などが一定数増えることも勘案すれば、人が自由に集まる元の生活に戻ることは難しいのではないか」と語る。
東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「変異株によってワクチンの効果が下がることも考えられる。今の自粛ムードが続く状態でも接種率60%は必要だが、マスクを外して会食も自由になる生活を目指すなら90%以上が望ましい。感染状況をインフルエンザレベルまで落とし、国民が納得する段階を一つのゴールと考えれば、2~3年で到達できるかもしれない」と指摘した。