COCOA不具合、4カ月放置 厚労相「非常に反省」

新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォン向けアプリ「COCOA(ココア)」で一部の利用者に接触通知が届かなかった問題で、厚生労働省は16日、検証報告書と再発防止策を発表した。業務委託した複数の事業者と厚労省側の役割分担が不明確だった上、厚労省側にアプリ開発の知識・経験、人員体制が不足していたことが原因とした。田村憲久厚労相は16日の閣議後記者会見で、樽見英樹事務次官と正林督章健康局長を文書による厳重注意とする処分を発表し、「非常に反省しなければいけない。今後もアプリの改善に努めていくので、多くの国民にご利用いただきたい」とコメントした。
報告書によると、厚労省は昨年5月、パーソルプロセス&テクノロジー社にアプリ開発と運用保守を委託。同社は別の3社に再委託し、うち1社はさらに別の2社に再々委託した。
アプリが発表されたのは同6月。しかし接触通知が多発する不具合が確認され、改修したバージョンを9月にリリースした。そこでグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」利用者には接触通知が届かない不具合が発生した。11月には技術者が集まるサイトなどでこの不具合が指摘されたものの、事業者は実機を使ったテストをせず、厚労省が把握したのは約4カ月後の今年1月末だった。
厚労省は2月3日に不具合を発表し、同18日に修正版をリリース。また省内に調査チームを作り、関係者39人のヒアリングと外部有識者4人の助言を得て報告書をまとめた。
調査チームの担当者は開発時の状況について「昨年4~5月は緊急事態宣言中で、厚労省としても感染拡大防止のため開発を急がねばならないという認識があった」と説明。その結果、「本来は年単位で作るアプリを2~3カ月で開発し、テスト環境を整備する間もなく出した。不具合の発見や改修が遅れた」とした。
不具合が約4カ月放置された原因については▽発注者の厚労省側にアプリの開発・運用に関する知識・経験が不足しており、外部からの不具合の指摘を適切に把握しプロジェクト管理に生かすことができなかった▽不具合の検証・修正が継続的に必要な事業であるにもかかわらず人員体制の確保が不十分だった▽複数の事業者と厚労省間のコミュニケーションが不足し責任や役割分担が不明確だった――と指摘した。
再発防止策としては▽開発当初からテスト環境を整備し、動作検証をする▽事業の委託にあたっては文書などで指示内容を明確化する▽管理職がITリテラシーを強化し、外部有識者の活用や内閣官房IT総合戦略室との連携を強化する--を挙げた。【中川聡子】