昨年1年間に都内で運転免許証を自主返納したドライバーは6万2626人に上り、過去2番目に多かったことが警視庁のまとめでわかった。93%を65歳以上が占めており、警視庁は、池袋暴走事故の後、高齢ドライバーに返納の動きが広がったとみている。
事故は2019年4月19日、豊島区東池袋の都道で発生。旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)(自動車運転死傷行為処罰法違反で公判中)の車が暴走し、母子2人が死亡、通行人ら9人が重軽傷を負った。直後から免許を返納する人が相次ぎ、同年末までに過去最多の6万6288人に上った。
昨年も返納の動きは続き、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令された4、5月こそ3000人台だったが、ほかの月は約4500~約7000人に上った。
年代別では、70~74歳が2万8164人(44・9%)と最も多く、75~79歳が1万746人(17・1%)、65~69歳が8289人(13・2%)などとなった。
警視庁は「運転に少しでも不安がある人は警察署に相談し、返納を検討してほしい」と呼びかけている。
池袋暴走事故は19日で発生から2年となり、妻の真菜さん(当時31歳)と娘の
莉子
( りこ ) ちゃん(同3歳)を亡くした松永拓也さん(34)が、現場近くの慰霊碑に手を合わせた。その後、報道陣の取材に応じ、「毎日、2人がいない現実と直面している」と心境を語った。
事故被害者遺族らの団体で、交通安全を訴える活動に参加しており、「自分が苦しければ苦しいほど、悲しければ悲しいほど、他の人に味わわせてはいけないという思いが強まっている」と話した。