「まん延防止意味がない」 適用分かれた三鷹駅の南北、変化なし

新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」により、12日から適用地域が南北で分かれた東京都のJR三鷹駅。対象から外れた南口の三鷹市に比べ、対象になった北口の武蔵野市は飲食店の営業が1時間短縮されて午後8時までとなり、利用客の流出が懸念されたが、スマートフォンの位置情報を扱う会社は「北口から南口への人出の流出があったとは言えない」との分析結果を発表した。【島袋太輔】
休日に大幅増、効果低く
分析したのは「レイ・フロンティア」(台東区)。同社は、スマホのGPS(全地球測位システム)で行動記録を収集し、利用者が「日記感覚」で行動を振り返ることができるアプリを提供している。今回、三鷹の「南北問題」をテーマに、アプリ利用者が1~18日、自宅と職場を除いて三鷹駅周辺に5分以上滞在した記録を分析した。
レ社が重点措置適用前の1日の人出を調べた結果、北口は南口より3割強少なく、この傾向は適用後も続いた。レ社は「南口の方が飲食店が集まっているため」と推測する。
懸念された北口から南口への人出流出については、適用後初の週末に当たる17、18両日を分析。「同じ時間帯の人出の推移から北口の減少に伴う南口の増加は見られず、人出の流出はなかった」と判断した。南口の飲食店街や「三鷹の森ジブリ美術館」に人出が集中し、日中は百貨店や大型商業施設がある武蔵野市の吉祥寺駅の繁華街もにぎわっていた。
分析では重点措置の効果が低いことも浮き彫りになった。日曜日の18日は適用前の4日に比べ、午後8~10時台は北口が45%増、南口が41%増。通常、夜間の人出が多い金曜日と土曜日を避け、日曜日に出かける人が増えたとみられるという。レ社の担当者は営業時間の短縮要請などが長引いたため「慣れで効果が低くなった」と指摘した。
三鷹駅北口の飲食店などでつくる武蔵野市中央地区商店連合会の羽鳥光明会長(60)は「昨年の1回目の緊急事態宣言の時は人通りがかなり減ったが、今回は大して何も変わらなかった。まん延防止措置はほとんど意味がない」と話した。