コロナ慣れした・いい加減にして…「駆け込み客」でにぎわう梅田繁華街

3回目となる緊急事態宣言発令を翌日に控えた24日、対象地域の大阪、京都、兵庫、東京の4都府県では、土曜日とあって繁華街などで大勢の人が行き交った。「人の流れを止める」を目標とする今回の宣言。市民生活を大きく制限する要請だけに、どこまで自粛すべきかという人々の意識には温度差もある。
■コロナ慣れ
大阪・梅田の繁華街。25日から商業施設が軒並み休業するのを前に、多くの駆け込み客でにぎわった。
大阪市淀川区の会社員女性(43)は百貨店に夫と来店。「行政もがんばっていると思うので、我慢はしないといけない。自粛疲れはあるけど、当分は外出も控える」と話した。
一方、「1回目の緊急事態宣言では家に引きこもったけど、今回は同じような自粛は難しいかもしれない」と話すのは、映画館を訪れた大阪市北区の会社員男性(24)。
その理由として「周りに感染者がいないので気をつけて行動すれば大丈夫に思えてきた。コロナ慣れしてしまった」と言う。
仕事帰りに立ち寄った大阪市淀川区の会社員男性(44)は「医療が

逼迫
( ひっぱく ) しているから仕方ない」と受け入れつつも、憤りも口にした。「医療体制をどう立て直すのか満足な説明もなく、政治家が負担だけ求めるのはいい加減にしてほしいという思いだ」
■「大声出さないのに」
兵庫県立美術館(神戸市中央区)では24日、「

頴川
( えがわ ) コレクション

梅舒適
( ばいじょてき ) コレクション受贈記念展」が開幕したが、休業要請に伴い、わずか1日で中断することになった。
大阪から一人で訪れた無職の男性(71)は「私も感染は怖いが、美術館は大声を出す人がいるわけでもなく、感染対策は徹底されている。休業要請には違和感がある」と戸惑った様子で話した。
大阪では多くの公共施設が休業し、万博記念公園(大阪府吹田市)も25日から入園できなくなる。
友人と2人で散策に訪れた吹田市内の女性(72)は「昨年は、ほとんど外出しないようにしていたら足腰が弱ってしまった。ここでウォーキングを始めたばかりだったのに、これからどうしようか」と肩を落とした。
対象外の図書館も自主的に休館

政府は、博物館や美術館、動物園などは休業や時短要請の対象としているが、図書館は対象としていない。会話をする人も少なく、感染リスクが高いという報告もされていないためとみられるが、大阪府内では自主的に臨時休館とする自治体が相次いでいる。
大阪市都島区の女性(63)は24日、小学2年の孫と近くの図書館を訪れた。「自宅にいる時間が長くなるので、孫に本を読ませるためにも休館しないでほしかった。一方的に我慢を強いられていると感じる」と話した。
バーベキュー盛況

大阪市淀川区の淀川河川公園でも、バーベキューを楽しむ姿がみられた。会社の同僚らと酒を飲んで盛り上がっていた大阪市西区の男性(30)は、「家に集まって飲むより密も避けられる。屋外なので安全だと思う」と話した。
同河川公園はマスク着用を呼び掛けているが、飲食しているうちにマスクを外して談笑しているグループもいた。
しかし、スーパーコンピューター「

富岳
( ふがく ) 」による想定実験では、マスクを外した状態でのバーベキューの感染リスクが実証されている。大声で話せば、1メートル先の正面に立つ人が、

飛沫
( ひまつ ) 全体の10分の1を浴びた。
実際、バーベキュー参加者が新型コロナに感染したケースも全国で相次いでいる。
バーベキューができる施設は、酒を提供しなければ休業要請の対象にならない。淀川河川公園は25日から利用を禁止するが、河川敷全体を見回るのは難しいという。兵庫県内のあるバーベキュー施設は宣言中も営業を続けるといい、担当者は「酒を持ち込む人もいるだろうが、禁止はできない」と明かした。
各自治体は路上や公園での集団飲酒をしないよう呼びかけている。屋外は飲食店のような密閉状態にはならないが、人との距離が近くなりやすい。飲酒すれば大きな声が出ることが多くなり、飛沫による感染リスクは高いとされる。