「紀州のドン・ファン」元妻逮捕 自宅周辺は騒然「全容解明を」

平成30年5月、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=が急死した事件。発生から3年近くが経過した28日早朝、殺人などの疑いで野崎さんの妻だった須藤早貴(さき)容疑者(25)=東京都品川区=が逮捕され、野崎さんの自宅周辺では驚きとともに全容解明を求める声があがった。
市内の閑静な住宅地にある野崎さんの自宅。事件発生当初は連日、報道陣やワイドショーの関係者が詰めかけたが、報道合戦が沈静化して以降は元通りの静けさを取り戻していた。
しかし、3年近く経過したこの日、急展開した捜査を受け、自宅周辺は再び報道陣らでごった返した。
近所に住む男性会社員(41)は「事件は迷宮入りで終わると思っていたが、ネットニュースで逮捕を知った」と振り返り、「これで、もやもやした感じは解消した。警察には早く全容解明してほしい」と期待した。
近所のアルバイト女性(20)は小学生のころ、登校中に野崎さんから声をかけられたことがあったといい、「テレビで逮捕を知ってびっくりした」と打ち明けた。「小学校のころ、野崎さんの家に行き、愛犬を触ったこともあった。やさしいおじいちゃんという感じの人だった」と思い起こした。
一方、野崎さんの遺言書に基づき、少なくとも約13億円にのぼる遺産の寄付を受ける予定の市役所では、25日に投開票された市長選で5選を果たした真砂充敏市長が選挙後、初登庁。真砂市長は玄関前であいさつし、部長会議にも臨んだが、元妻の逮捕についての言及はなかったという。
市が寄付を受けるには遺産額の確定作業が残っている。担当職員は逮捕について「遺産額確定作業に直接影響がなく、コメントしようがない」と話した。確定作業は当初、昨年度内の完了を目指していたが、新型コロナウイルスの影響もあり、遅れているという。