「時短の効果なかった」「店は開けない」…宣言対象地域に追加、募る危機感

新型コロナウイルスの感染者急増で、緊急事態宣言の対象地域に追加される見通しとなった福岡県。政府が7日に正式決定すれば、同県への発令は3度目となる。県内の医療体制は

逼迫
( ひっぱく ) しつつあり、医療従事者は危機感を強める一方、県民からは仕事や生活への影響を心配する声が上がった。

県は4月22日以降、福岡、久留米市の飲食店などに午後9時までの営業時間短縮を要請したが、感染者は同26日を除いて200~400人台で推移しており、減少傾向はみられない。
県はこの間、コロナ病床を802床から940床まで増やしたが、病床使用率は同22日の33・4%から、5月5日には63・2%まで上昇した。
医療関係者の間では以前から、緊急事態宣言など強い対策を求める声もあった。福岡県の入院調整を担当する九州医療センター(福岡市中央区)の野田英一郎・救命救急部長は「時短要請は効果があったとはいえず、連休中も人出が増えた」と指摘。現時点では入院が必要な人は入院できているものの、感染力が強い変異ウイルスが増えているとし、「1、2週間後には、(医療逼迫が深刻な)大阪府に近い状況になる可能性がある。同居する人以外との食事を避けるなど一人ひとりが行動を変えてほしい」と訴える。

JR博多駅前はこの日朝も、勤務先へ向かう会社員らの姿が多く見られた。
福岡県宗像市から通勤する金融会社顧問の男性(54)は「時短要請の狙いは不明確で、効果が実感できなかった。宣言はもっと早くてもよかったぐらいだ」としながらも、「営業の仕事では対面が必須だが、オンラインでの営業なども検討しないといけない。休日も家族で外出がしづらくなるだろう」と不安を口にした。
教育実習の打ち合わせに向かう途中だった同市の大学3年の女性(20)は昨年のコロナ感染拡大後、講義の6割がオンラインに切り替わったという。「教育実習にも影響が出るかもしれない。宣言が長く続けば、部活の弓道の試合が中止になる可能性もある」と気がかりな様子だった。

県は当初、「地域で感染状況に濃淡がある」と判断。今月1日、緊急事態宣言ではなく、まん延防止等重点措置の適用を国に要請していた。
感染者数が比較的少なかった北九州市は、重点措置の対象地域には含まれない見通しだったが、宣言では県全域が対象となる。
同市の北橋健治市長は7日、読売新聞の取材に対し、「広域的な感染防止を図るという国の方針であれば、是非もない。県民一丸となり、収束に向けて最大限の努力をするしかない」と述べた。
同市中心部の歓楽街でスナックを経営する女性(71)は「酒もカラオケも提供できないということになれば、店は開けない。致命的だ」と肩を落とす。県が6日から飲食店の酒類の提供について、福岡、久留米両市は午後7時まで、それ以外の自治体は午後8時までと要請したことを受け、同日は休業。さらに宣言発令の見通しになったことで、この女性は「アルバイトに辞めてもらうなどしてやりくりしてきたが、3度目の宣言となれば、さすがに苦しい」と話した。