「1日100万回」接種の実現危ぶむ声、大規模会場2か所で計1・5万回どまり

政府は、新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種を目標の7月末までに終えるため、「1日100万回」の接種ペースを目指す。ただ、必要な体制が整っていない自治体も多く、実現を危ぶむ声が出ている。
菅首相は10日の参院予算委員会で「世界を見ても、接種を進めていくことで大きく(感染状況を)改善させている。接種を加速させ、国民の命と暮らしを守っていく」と意気込みを示した。
「1日100万回」は、首相が7日、緊急事態宣言の延長決定に伴う記者会見で発表した。国が東京と大阪に大規模接種会場を設ける今月24日から7月末まで、約70日間ある。全国の高齢者約3600万人に2回接種できるだけの実績(計約7200万回)を積み上げるには、1日100万回のペースが必要というわけだ。
100万回という数字は、季節性のインフルエンザワクチンが1日平均で約60万回打たれているという実績を踏まえた。政府高官は「今回は全国規模で行政が後押しするうえ、無料だからハードルは高くない」と強気の構えだ。ワクチンも6月末までに必要量を確保できるめどが立っている。
国民は海外の先進国に比べてワクチン接種が遅れていることに不満を募らせている。首相は周囲に「遅いと言われる今が一番苦しい時だ」と語り、接種の加速化で巻き返しを狙う。
ただ、国が直営する大規模接種会場での接種見込みは2か所で1日計1万5000回にすぎない。大部分の接種実務は市区町村に委ねられているのが現状だ。全国1741市区町村のうち、7月末までに接種を終える見通しの市区町村は1000程度にとどまり、1日100万回を達成できる「めどは全く立っていない」(政府関係者)。
副反応への懸念から接種を見合わせる人が3割程度出るとの観測を踏まえ、政府内には「1日70万回の目標でもよかった」と首をかしげる向きもある。実現しなかった場合、批判の矛先は首相に向かいかねない。政府内では「高齢者から予約が入らなければ高齢者は完了ということだ」(政府高官)とする声も出ている。