神奈川県の湘南、県央地区で3~5月、公園の水飲み場などにある金属製の蛇口や手すりがなくなる被害が相次いでいる。毎日新聞の集計では被害に遭ったのは4市で44本に上った。何者かが転売目的で盗んだとみられるものの、蛇口はかつて盗難が相次いだ側溝の格子状のふた(グレーチング)などに比べて軽く、利益が出にくいとも言われている。県警も「リスクを考えると割に合わないのでは」といぶかっている。
平塚市によると、4月27日朝、JR平塚駅から北約2キロにある神明公園の近隣住民から「水飲み場の蛇口が外れている」と連絡があった。市職員が近くの公園も調べると、計6公園で真ちゅう製の蛇口5本とステンレス製の手すり6本がなくなっていた。被害総額は約15万円で、いずれも工具で取り外した跡があったという。
記者が神明公園を訪ねてみると、公園はマンションと接しており、水飲み場は道路から見える位置にあった。日中に取り外したのであれば目立ったに違いない。蛇口があった場所には「ただいま修理中」の張り紙がしてあり、市によると復旧のめどは立っていないという。
その6日後の5月3日、隣接する厚木市が3月下旬以降に市内の7公園から蛇口24本(被害総額約14万円)が盗まれたと公表した。このほか伊勢原市では5月に自治会館の蛇口6本が、海老名市では4月に公園の蛇口3本がなくなる被害があった。両市はそれぞれ平塚市、厚木市と接している。
過去の金属盗で目立っていたのは2004年以降に続出したグレーチングや銅線の被害だ。北京オリンピック(08年)を控えた中国の建設ラッシュで金属価格が高騰したことが背景にあったとみられる。数キロ単位で盗まれることが多かったこれらに比べると、小さな蛇口は利益が上がりにくい。
県警は発生地域が湘南、県央地区に集中していることを踏まえ、同一犯による窃盗事件の可能性も視野に捜査している。捜査関係者は「換金目的なのだろうがリスクに見合っていない。意図が見えない」と首をひねっている。【牧野大輔】