カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄罪などに問われた衆院議員、秋元司被告(49)。東京地裁で開かれている公判で、中国企業からの“接待旅行”の実態を明かしたのは、あの“パパ活議員”だった。
5月6日の証人尋問。検察側の証人として登場したのは、白須賀貴樹衆院議員(46)だ。「週刊文春」は 2月17日配信のスクープ速報 で、白須賀氏が緊急事態宣言下に高級ラウンジに通っていたことを報道。その直後、自民党を離党している。
「白須賀氏はこれまでも、秘書の当て逃げ事故や選挙妨害など不祥事が絶えませんでした。今回のカジノ汚職事件を巡っても、東京地検特捜部から千葉県内の事務所が家宅捜索を受けています」(社会部記者)
実際、白須賀氏は調べに対し、中国企業から100万円を受け取ったことも認めている。しかし、秋元被告と違ったのは「権限」だ。
「収賄罪は、本人の職務に関して賄賂を受けることで成立します。秋元は当時IR担当の内閣府副大臣でしたが、白須賀議員はIRについての職務権限はないと見なされ、立件は見送られました」(同前)
起訴内容によれば、秋元被告の賄賂総額は計約760万円。うち約180万円分は、白須賀氏らと17年12月に中国やマカオを旅行した際の遊興費などだ。今回の証人尋問でもこの点について、検察側に問われた白須賀氏。「秋元先生に『世界のリッチな方々の生活を見に行こう』と誘われた」と証言し始めた。
白須賀氏が次々明かした「秋元先生」の“嘘”
「白須賀氏は、秋元被告らとプライベートジェットに乗って、中国とマカオの視察に向かったそうです。現地では、中国企業の本社見学をしてからマカオのカジノへ。翌日は高級ブランド店でショッピングに興じたといいます。証言台は無罪を主張する秋元被告の目の前にありますが、議員バッジを付けずに現れた白須賀氏は淡々と視察の様子を説明していました」(同前)
秋元被告は公判で、海外視察の精算は「事務所が負担すると思っていた」などと主張してきた。
しかし、白須賀氏は「秋元先生」の“嘘”を次々と明かしていく。カジノでは「私も(約14万円相当の)チップ2枚を手渡されたが、それ以上の枚数を受け取っていたと思う」。ショッピングでは「グッチ、エルメス、プラダ、フェラガモなどで靴や服を選び、中国企業の社長がすぐ近くにいて、カードで支払いをしていた」。視察は「全体的に贅沢で、明らかに秋元先生を接待するためのものだった」と総括した。
弁護側の質問が終わると、足早に法廷を去った白須賀氏。かたや“仲間”に裏切られた秋元被告は、腕を組み、硬い表情で被告人席にもたれ続けていたのだった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年5月20日号)